記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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十二 偽りの口頭審理(10)東京入国管理局の正面玄関から陳美蘭は出てきた。傍にはメイランの腕をしっかりと握った片岡がいる。 退去という判定が出た口頭審理の後に、法務大臣の裁決を望んで異議の申し出をした。 口頭審理の最中..
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十二 偽りの口頭審理(9)しかしそんな西山の思惑を越えて、陳美蘭の周辺の状況は変化していたようだった。まさか公務員の男が陳美蘭と付き合っていたとは想像もしていなかったし、その男が陳と結婚する等とは知り得ようもなかった。 ..
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十二 偽りの口頭審理(8)陳華平という男が何をしてきた男なのかについて、西山は知ってはいなかった。 稲山たちがずっと追いかけている男であるとしか知らなかったが、稲山たちの熱心さから推測するに、その男はかなりの大物であろう..
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十二 偽りの口頭審理(7)審判部門の首席入国審査官は西山の話を聞いていて、見る間に眉間の皺を深くしていた。 「それは誘導尋問ととられかねないぞ、西山君。在留特別許可ということになれば、彼らもそれまでのことについて何も言わな..
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十二 偽りの口頭審理(6)「で、でも、それはそうとして、あなたが結婚したのは陳さんが不許可になってからじゃないですか。 強制送還されそうになったから、慌てて結婚というのはどうなんでしょうね」 「慌てた訳じゃありませんよ。..
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十二 偽りの口頭審理(5)「冨樫先生がそう言った。そう言っているというのですか」 「ええ、取り次ぎというのはそういうものだと言っていましたね。申請者が言うことを信じていると。まさか離婚しているという事実を隠すなんて思いもしな..
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十二 偽りの口頭審理(4)口頭審理室で西山と対峙する片岡はもう以前の片岡ではなかった。自分に自信が持てずに悶々としていた頃の片岡のおどおどとした様子はそこにはない。 何しろずっと焦がれていた陳美蘭との結婚を果たし、妻を救..
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十二 偽りの口頭審理(3)冨樫は西山の術中に嵌ってしまった。西山は離婚した夫をそのまま夫として記載したのが単純な誤りではなく、陳美蘭が故意に事実を告げないで記載させたものだと言わせたのだった。 これで陳美蘭野退去強制は決..
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十二 偽りの口頭審理(2)西山の曖昧な返答を冨樫は、美蘭が自分の身を守るために責任放棄をしようとしていると、勝手に想像して受け取ってしまった。 短い面会時間しか取れない冨樫は、収容されてからの美蘭と話をしていなかった。 ..
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十二 偽りの口頭審理(1)口頭審理室には西山と冨樫の二人だけだった。 「どのような理由があるにせよ、申請書には事実を記載しなければならないのだよ。先生も取り次ぎを業としているのですから、そこのところはご理解いただけますね。..
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十一 混迷する違反調査(12)口頭審理を請求した容疑者はすべて異議の申し出まで行くのが通例だから、異議を申し出たとしても在留を認める理由がないとする裁決が下りるような決定的なものを見つけるか、もうひとつには在留を継続することを諦..
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十一 混迷する違反調査(11)口頭審理に当たっては、容疑者と証人に対し、期日を指定して取り調べをしなければならない。 西山は記録を見ながら、容疑者と不法残留後に婚姻した夫を取り調べる前に、申請手続きを取り次いだ行政書士の冨樫..