記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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六 在宅事件(7)それでなくとも増え続ける在宅事件の処理に頭を悩ませている九鬼が、摘発強化月間の後始末でしかない事件を真剣にやろうと思っているとは、課長も係長もそして同じ班の者たちの誰もが考えていなかったに違いない。..
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六 在宅事件(6)在宅事件を手掛けていると、身元保証人や弁護士、そして行政書士が一緒に付いて来たり、そればかりか早く手続きを進めろと言って来たり、挙句は取り調べに同席させろと言ってくることもある。 お前たちは強圧..
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六 在宅事件(5)「主任、千葉で摘発を受けたという事業主が来ていますが、わかりますか」 「千葉で摘発された。ああ、来たのか。本当に来るとは思っていなかったが、来たのか。二人で来たのだろうな」 「いいえ、四人で来てい..
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六 在宅事件(4)九鬼が引き継いだ百数十件の事件は、その殆どが中途半端な形で、言ってみれば遣りっ放しの状態のまま置き捨てられていた。 在宅事件班に九鬼が配属された理由の一つが、遅々として処理が進まない現状の打開を..
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六 在宅事件(3)この年の四月、収容場の看守責任者をしていた九鬼は、この在宅事件班に警備士補として配置された。 着任早々の九鬼に前任の須田警備士補から百件を越える未処理案件が引き渡された。 国家公務員である入..
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六 在宅事件(2)それは収容可能人員が五十名程の収容場しか持たない東京入国管理局にあって、常に収容と送還を効率よく運用して行かなければ成り立ち得ない厳しい状況に置かれていることも理由となっている。 出頭申告して来..
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六 在宅事件(1)摘発強化月間を終えた九鬼たちは、通常の勤務に戻っていた。 夜討ち朝駆けの過酷な勤務から開放されたのも束の間、九鬼たち在宅事件班は連日のように出頭申告してくる事件の受理に、忙殺される日々に戻るのだ..
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五 転落の罠(10)中国人の間で富樫の名前が売れて行けば、これからますます増えて行くだろう中国人関係の仕事をする上で、貴重な片腕として使えるに違いない。 今使っている中国人の男は交際範囲が広く、種々様々な話を持って..
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五 転落の罠(9)最初はじれったいばかりに訥々と話し、要領を得なかった陳であったが、しばらく話しているうちに富樫は、陳の飲み込みの速さに驚かされることになった。 富樫が一つ一つ摘発の様子と学校での成績などを確認し..
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五 転落の罠(8)陳が話した様子から察するに、雇用主が処罰を恐れる余り過剰に反応しているような気がした。 入管も証拠物を押収している訳じゃないようなので、どうしても身柄を取りたいというのではないのだろうと富樫は判..
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五 転落の罠(7)富樫は要領を得ない陳の話を、根気強く聞くことに専念した。 入管の摘発を受けたが、捕まった訳ではないと言う。雇用主に連れられて入管に出頭するのだが、そのまま収容されてしまうのではないかと心配してい..
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五 転落の罠(6)更に政府が「十万人の外国人留学生受け入れ」を表明したことから、日本国内のあちらこちらに雨後の筍のように、日本語学校が林立するようになったある日、池袋にある日本語学校の教師から中国人留学生の相談に乗っ..