記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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三 任意調査と強制調査(4)タイムカードと従業員名簿の任意提出を受けた小川は、摘発した身柄との突合作業を急いだ。 「どうでした。全員確認が取れましたか」 「それが・・・・・。断言できないんです。それと言うのも日本人は兎も角..
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三 任意調査と強制調査(3)どうしようかと男は考えていたが、結論は既に出ていた。理由が、そうすることに対する理由が、欲しかっただけだ。 自分の姿を誰にも発見されないように隠すこと、隠れることで目の前の現実から逃れること、そ..
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三 任意調査と強制調査(2)ホステスをしている女たちがそうだった。 取調べを受けた後に帰されるのだが、次回の在留期間更新許可申請は先ず認められないと言うことだ。やってはならぬというアルバイトをしていたのだから、摘発されてそ..
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三 任意調査と強制調査(1)東と呼ばれた男の脳裏には、二つの思いが交錯していた。 あれは以前から噂に聞いていた入管の摘発に違いない。隠れるべきなのか、それとも皆が集められている食堂に向かうべきなのか。 逃げ惑った挙句に..
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二 理想と現実の狭間(12)全員不法残留容疑者であることが確認できたのなら、タイムカードや賃金台帳などの証拠物は必要ないはずだったが、九鬼は人懐っこい笑顔を小川に見せながら、やるべきことは全てきちんとやりましょうと言っているの..
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二 理想と現実の狭間(11)外を逃げ回っていた男は予想通り不法残留者だった。この人定作業は非常に重要で、これに手間が掛かったりしていると身柄を確保して帰庁するのも遅れるし、その後の取調べにも難渋することになる。 不法入国や..
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二 理想と現実の狭間(10)ズボンの後ろをベルトごとしっかりと掴んで、しかも空いた右手で男の右手の関節を決めて九鬼は、摘発された男たちが集められている会社の食堂に向かった。 「タイムカードがあるだろう」 「はい、もう集めて..
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二 理想と現実の狭間(9)雑木林の中を跳ぶように走っている。顔立ちから中国人であることは間違いない。それに先日の内偵調査の結果からも、中国人の男が多数いることだけは確認している。 問題は入管法違反を問えるかどうかだった。..
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二 理想と現実の狭間(8)駐車場には見慣れぬワゴン車が無秩序に停め捨てられていた。 作業所の周囲は雑木林なのだが、その中を先輩格の従業員が、数人の男たちに追いかけられていた。 追い掛けている男たちは、茶色や青色の腕章..
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二 理想と現実の狭間(7)最初こそ学業を優先させようとするため、また入国管理局から学生アルバイトの時間も規制されていることもあって、毎日のように働くということも出来なかった。 仕事は選びさえしなければあるのだが、日中の数..
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二 理想と現実の狭間(6)耐え難い騒音の只中で、夕食を摂った六時頃から翌日の八時頃まで、停止することを許されない機械の監視と、次々と吐き出されてくる製品の点検とバリと呼ばれる余分な部分を取り除くことが、深夜に勤務する中国人の..
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二 理想と現実の狭間(5)もう直ぐ交代の時間になる。重労働ではないが、拘束時間が余りに長すぎる。俺が女で、しかも美しい女であれば、こんなにも苦労しないで金を稼ぐことが出来ただろうに。 「おい、東、もう直ぐ上がりなんだから、..