記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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五 潜伏する者たち(11)「奥様になられる方は、外国人登録もご一緒に済ませておいてください」 市民課の親切な職員の言葉を聞いているのかいないのか、書類を提出した二人はそそくさとその場を離れると、駐車場に向かった。 大き..
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五 潜伏する者たち(10)妙な取り合わせの男女だった。どこか似つかわしくないだぶだぶのスーツ姿の男に、それに寄り添う女との年齢も微妙に離れすぎている。腕を組んで歩いている姿もぎこちなく、どこかよそよそしいのだ。 「婚姻届は..
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五 潜伏する者たち(9)ホアホアは念入りにハンカチで携帯電話を拭くと、真新しいハンカチを躊躇いもなく駅のゴミ箱に放り投げた。 「そろそろ潮時なのかな。役には立ったが、いい加減うざいな。そうかと言って亭主をどうこうするわけ..
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五 潜伏する者たち(8)電車の中では説得できそうにないと考えたホアホアは、仕方なく電車を降りるとホームの端に移動した。 「何を小娘みたいな駄々を言ってるんだ。今日は駄目だって言ってるだろう。本当に今日は忙しいんだ。俺だっ..
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五 潜伏する者たち(7)緩やかな振動が、いつものように眠り込んでいたホアホアを、現実の世界に引き戻した。 胸ポケットから震えている携帯電話を取り出すと、表示された電話番号を目にしたホアホアは、急に眉間の皺を濃くすると「..
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五 潜伏する者たち(6)思い切りが良ければ、ほんの少しの決断力があれば、隣で太平楽に眠りこけている中国人の男を、今ここで橋の上から投げ落としたなら、どれほど痛快な気持ちになれるだろう。 運転する日本人の男は、新宿に拠点..
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五 潜伏する者たち(5)こわばった表情のまま運転する男は、それっきり口を開くことをやめた。 太って柔和な表情をした柔らかい物腰の男が、見かけによらず凶暴であることを思い出したのだ。 太った男はその様子に満足したのか..
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五 潜伏する者たち(4)銀色に輝くパネルバンが首都高速五号線を、右に左に車線変更を繰り返し渋滞の中を要領よく走っている。 「戸田の倉庫でいいんだな」 運転席に座る男が、助手席の太った男に確認する。 「ああ、車を止め..
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五 潜伏する者たち(3)「外国人がいるんだよ」 「嘘だろう。日本人だってお母さんが言ってたよ」 「探検してみようよ。歩道橋の上から見ると良く見えるんだ。付いて来いよ」 子供たちは楽しそうな歓声を上げて、歩道橋の上に駆け..
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五 潜伏する者たち(2)「第五平和荘と言うくらいだから、他にあと四軒のアパートがあるのかしら。それにしても得体の知れない人の出入りが多いわねえ」 「でも日本人だから良いじゃないの。何でも他のところの話では、アパートに外国人..
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五 潜伏する者たち(1)浦和という名の付くJR東日本の駅は七つある。浦和駅を中心に東西南北を冠する四つの浦和駅と、武蔵浦和駅と中浦和駅の計七つだ。 埼玉県庁に間近い浦和駅の周辺こそ開発が進み、商店や会社のビルが立ち並ん..
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四 蠢く人々(8)富樫はホアホアの働きによって莫大な利益を受けていることから、山田君子が何を言ってきても邪険に扱うことができないでいるし、そんな二人の間柄を知っている君子の声は、自然と高く鋭くなるのだった。 「だけ..