記事「日経新聞」 の 検索結果 2562 件
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『タイム・アフター・タイム』(164~169)目を覚まして最初に見えたのは、薄いカーテンだった。 洗面所で倒れている凪沙を見つけたのは、律子だったらしい。 救急車が呼ばれ、凪沙は病院に運ばれた。 もちろん命に別状はなく、傷口..
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『タイム・アフター・タイム』(158~163)凪沙が顔を洗っている間に、尾崎は外出していた。県立図書館に行ったという。 ということは、久遠と一緒に違いなった。 「ねえ、尾崎くん、何か言ってなかった?」 唐突な娘の質問に、両親は..
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『タイム・アフター・タイム』(151~157)第六章 平出凪沙 十六歳/高校二年生 西棟の校舎の窓からは、夕日を浴びたグラウンドとその向こうに百万ドルの夜景と謳われている長崎湾の景色が見渡せる。 「凪沙、ここにいたんだ。帰ろうよ」 ..
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『タイム・アフター・タイム』(145~150)「……お願いっていうのはね、ちょっとだけ待ってほしいのよ。もちろん、颯くんの気持ちを考えたら、こんな手前勝手なお願いなんてできないんだけど、今、美南、ちょっと冷静じゃないと思うの。私が美南を説..
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『タイム・アフター・タイム』(139~144)「いくよ」 ピンポン球に息を吹きかけねがら十八歳の尾崎はサーブのポーズを取った。 向こうでは同じ十八歳の久遠が腰を落として、右に左に動かしていた体をぴたりと止める。 「よし、オッケー..
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『タイム・アフター・タイム』(133~138)第五章 裏切りの秋空 「なんだよ、それ。……そんなの、ただの金蔓だよ。ちょっと考えれば分かるだろ?」 「そんなの百も承知だよ……。俺だって分かってるよ。お前が思っているほどバカじゃないよ。いや..
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『タイム・アフター・タイム』(127~132)第五章 裏切りの秋空 あれは荒川が氾濫しそうになった夜のことである。 ベランダで海斗と二人、ずぶ濡れになりながらも濁流となった川を見続けていた。 「ねえ、もしあの川がこっちまで来たら、ど..
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『タイム・アフター・タイム』(121~126)第五章 裏切りの秋空 尾崎は紅葉を写真に撮った。 自宅へ戻ると、すでに美南も帰宅しており、「おかえり」と、わざわざ玄関まで出てくる。 「珍しくマンションの人に声をかけられたよ」 「へえ..
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『タイム・アフター・タイム』(115~120)「私たちも、もちろん凪沙もそうですけど、久遠さんを責めてるわけじゃないです。ただ、もし尾崎先輩のことを少しでも考えてるなら、今みたいに自分勝手なことはできないと思うんです」 「自分勝手……」..
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『タイム・アフター・タイム』(109~114)長崎くんちが終わると、急に秋らしくなった。 向かっているのは、駅前にある古瀬舞子の選挙事務所である。 事務所は小さな雑居ビルの一階にあった。 入り口は簡易なアルミのドアで、一応ノ..
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『タイム・アフター・タイム』(103~108)さらに詳しく聞いたところによれば、率先して子供たちの退塾に動いた母親は、県会議員とオッソーの母親との不倫関係は、元はといえば、オッソーの母親からかなり強引に仕掛けたもので、言ってみれば、県会..
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『タイム・アフター・タイム』(97~102)次回の県会議員選挙への出馬が正式に決まったという古瀬賢一郎の妻、古瀬舞子が、挨拶にやってきた。 ちなみに古瀬賢一郎が不倫相手の女とラブホテルを出た帰り、踏切の事故で亡くなってから、まだ三..