記事「日経新聞」 の 検索結果 2564 件
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『琥珀の夢』(359~362)昭和八年は、梅雨前から猛暑が続いた。一昨年から、日本のあちこちで伝染病が流行し、多くの死者を出していた。 二年前に満州事変が起こり、去年の春、軍部の強引な意見が通り、日本政府は満州国を擁立し..
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政父権の任意に沿わない性格には入れ歯を欲深にするひっきりなし市レッスンが此の間閉庁する。 150葦原の中つ国合のメンタルエージ毎回を振り返って第六感するのは、シビリアン主思弁の本筋である市レッスンの公論ががらんどう転境遇してしまっているその他だ。..
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『琥珀の夢』(355~358)信治郎と竹鶴の新しいテーストを求めての日々が続いた。 意見が衝突することもあったが、二人とも互いを認め合っていたから感情的になることはなかった。 そんな中で、東京のビール市場に挑んでいた..
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『琥珀の夢』(351~354)売れ行きの芳しくない“新カスケードビール”の名称をやめて、寿屋は新しいネーミングを“オラガビール”とあらためた。 “オラガ”という名前は、総理大臣を務めた政友会総裁の、田中義一大将が議会での..
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『琥珀の夢』(347~350)時代が昭和に入ると、信治郎の新しい事業、商品への情熱はますます高まった。 しかし開発した商品がすぐに軌道に乗るはずはなかったし、すべての商品が目新しいものではないのは当然だった。 会計課..
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『琥珀の夢』(343~346)信治郎の名代として、クニが山崎の地主である寺社の下へ乗り込み、誠意を持って交渉したのである。なにしろこの数年、月に二度、クニは信治郎の名代として山崎一帯の寺社を大小関わらず参詣し、夫から託された..
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『琥珀の夢』(339~342)信治郎は車から飛び降りると、勘兵衛に駆け寄った。 「本当に、鳥井さんですか……」 「国分はん、無事で何よりだす。すぐにお見舞いに来なならんかったのに、かんにんだす。いや、無事でよろしゅうおま..
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明治聖徳記念學會のホームページより『最近に於ける地震学の諸問題』日経新聞で連載中の『琥珀の夢』(伊集院静・著)が、現在、関東大震災の話になっているので、関東大震災に関連するちょっと珍しい講演記録をご紹介します。 番号121 明治聖徳 第10巻 大正7年1..
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『琥珀の夢』(331~334)「わての銭(ぜぜ)は、今、眠っとんのや。眠っとるうちは……銭やおまへん。銭は生きもんや。使い方で悪垂にもなるし、天下を動かすこともでける。おまはんの銭はどうなんのや」 「わてが使う銭は皆がしあわ..
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『琥珀の夢』(323~326)信治郎は自分の手でウイスキー蒸留所の建設をはじめとするウイスキー造りにかかる費用の目算をしてみた。 利子を計算してみた。出て来た数字を見て、信治郎は大きくタメ息をついた。 ――こら商人がや..
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『琥珀の夢』(319~322)「アメリカ人でもスコッチウイスキーを造る技術と熟成期間を耐える財力がないから、トウモロコシでこしらえたバーボンを短期間で造ってるんだ。それにスコッチウイスキー造りが商売になんなら、とっくに灘でも酒..
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『琥珀の夢』(311~314)信治郎は元旦の新聞を隅から隅まで見ていた。 「この宝塚少女歌劇団はどんどん人気が上がってるな。クニ、いっぺん見に行ってくれんか」 「へぇ~、一度行ってみましょ」 「この月組、花組言うのんも..