記事「日経新聞」 の 検索結果 2564 件
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『迷いの旅籠』(205~206)「ご幼少のころからお身弱であった上に、藩主の座に就かれますと、しばしば痞えの発作に苦しまれるようになりました」 痞えというのは、にわかに胸が痛んで呼吸が苦しくなる病だが、これという治療法がない..
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『迷いの旅籠』(202~204)「ご公儀が、栗山藩の失政をまっこうからお咎めの上で改易にを申しつけられるのは容易いことであったにもかかわらず、嗣子なし故に断絶という名目を立ててくだされたことを、我ら家中の者どもは、むしろお慈悲と..
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『迷いの旅籠』(199~201)「これは手習い用の手本でござる」 「は?」 「この号は、漢字が潰れているので判りにくいが、<漢子道塾師筆>と書いてある。貴女のお歳では知らなくて当然だが、もう二十年ほど前、江戸市中で、<漢子道..
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『迷いの旅籠』(196~198)第三話 三鬼 数日、生ぬるい小雨が降り続いた。 「ずいぶん気を持たせるねえ」 渋い面持ちになっているのは伊兵衛である。 灯庵老人が、白黒の間で次の客になる人が決まりました――と報せて..
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『迷いの旅籠』(195)それから数日後、だるま屋のおかみのお辰が三島屋にやって来て、小さなだるまの吊し飾りを、山ほど注文してくれた。 だが皐月も月末になってのこと、寄合から戻った伊兵衛がおちかを呼んで、 「会合の..
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便利なツールあるじゃん!PCとスマホ昨日まで仕事をしていたユーセフです。 先週末も仕事で潰しており、今日1日が久しぶりの休日でした。ゆっくりと過ごせることはいいことですね。逆にそうでないと、こうしてブログも滞ってしまいます。 ..
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『迷いの旅籠』(192~194)帰路でようやくゆっくり足を止めて、房五郎はひだる神に話しかけた。 「あれから二十二年だよ。ひだるさん」 房五郎の足元の影の左肩に、ひだる神の影は現れなかった。 夕暮れで、日差しが弱いか..
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東芝・富士通・VAIO統合 見出しラッパー参上日々いろんな新聞社から記事の見出し(タイトル)がタイムラインに流れてくるTwitter。先日から日本経済新聞電子版のある見出しが「ラップみたいだ」と指摘され大きく共感を集めています。その名も「パソコン..
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『迷いの旅籠』(189~191)「いっそ、お客さんにわかりがいいように、一月おきに店を開けたらどうかしらねえ」 「おまえ、そりゃ世間様を舐めてるぞ」 結局、今のように、花見弁当で忙しい時期が終わったら休業にして夏を越し、長..
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『迷いの旅籠』(186~188)つましく暮らすなら一年ぐらいは困らないだけの蓄えもある。 もっとも、この「つましい」というところでは、夫婦の意見が割れた。房五郎は窶れてしまった女房が哀れで、赤坂の実家に帰して、義兄の作る滋..
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『迷いの旅籠』(183~185)「お天道様はこれからてっぺんへ昇っていこうという時分で、ですから桜の古木には影ができています。手前の足元にも、手前の影があるはずでございますが」 だが、それがない。足元は、ただ一面に真っ暗だっ..
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『迷いの旅籠』(180~182)「そうこうしているうちに、お辰と女中の具合もおかしくなってきたんでございます」 手足がひどく冷えて、一日中、身体の節々がどこかしら痛む。 「だるま屋さんご自身はいかがでした?」 「手前は丈..