記事「チベット,ダライラマ六世,ポタラ宮」 の 検索結果 7 件
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ぼくがダライラマ?(68)足もとがふらついていた。夢を見ているような気がした。それも、いつまでも目が覚めない夢を。歩いて行くと、朱を基調に原色で彩られた柱や、金糸で縁取りされた極彩色のタンカ、いかめしい造りの大扉が続いている..
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ぼくがダライラマ?(67)新郎と摂政に両脇を支えられ、新婦は立ち上がった。ぼくは脇で立ち尽くしていた。彼女は酔ったように、座らない首でこちらを向くと、小さな声で鋭く言った。 「あなたは残酷な方です」 式はそのまま続行さ..
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ぼくがダライラマ?(66)うつむいている新婦の首に、絹地の布がそろりと触れた。彼女は気後れした様子もなく、こちらを見上げた。二度と見つめ合うことはないことを、自身に言い聞かせるように。何か言葉をかけようとしたが、焦燥にかられ..
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ぼくがダライラマ?(65)立ち上がった摂政は、新郎・新婦の前に立った。二人がひそかに愛し合い、親の反対を押し切ってまで結ばれようとしたという逸話を披露した。そう言いながら、目頭を押さえる摂政を見て、何という虚言の天才だろうと..
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ぼくがダライラマ?(64)その時、はらわたを揺るがすホルンが、夜叉羅刹をも震え上がらせるほどの、凄まじい重低音で鳴り渡った。この婚礼を妨げられる者は、もはや誰もいないと宣告するかのように。それを祝して高らかに、銅鑼や大太鼓が..
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ぼくがダライラマ?(61)ぼくが身をふりほどこうとすると、摂政は皺の深く刻まれた顔で、口答えは許さないといった気迫でにらみつけた。 「猊下は結婚式に出席されるのです。何事もなかったように、祝辞を述べていただきます。臣下はそ..
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ぼくがダライラマ?(38)それからというもの、ぼくは謎の女のことが頭を去らなかった。仏教の講義や瞑想の時間にも、女の顔がちらついて気が散ってしまう。摂政に娘がいるらしいことは、侍従の口から洩れ聞いてはいたのだが、それがあの女..
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