記事「創作文」 の 検索結果 41 件
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1万で。「もう少しだけで良いんだ」 いくらまで引っ張れるか、沢島は安田の顔をうかがった。 「じゃあもう1万だけ」 安田は、財布から1万円を抜いて沢島に渡した。 「ちゃんと返せよ」 「わかってる」 ..
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石。「君の部屋はどこにある?」 男は沢辺と名乗っただけで、いきなり中に入ってきた。 「ちょ、ちょっと困ります。いきなり入ってくるなんて非常識ですよ」 「常識に縛られない方が良い。これからの人生をよく..
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バナナんの皮。バナナの皮で滑って転ぶ。転んだ先には何がある。 何もなくても何かある。すってんころりんころりんころろん。 風が吹いたらぴゅーぴゅー寒い。 「明日はどちらに風が吹くのでしょう」 「風の吹きたい方..
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丸。頭の中でずっと考えていても何も出てこなかった。 「やっぱりやめておきます」 「どうして?」 白紙の紙を前にしているだけだった。 何かを描くときに人に見られているというのはやりづらいものだ。 ..
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真冬の花。さわやかな風が吹いていた。 さわやかな風がいったいどういう風であるのかを表現することができるかどうかが話をうまく転がしていくことに関係あるかどうかは知らないが、さわやかな風をさわやかな風としか書けな..
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ブラッド。パシーン、パシーンと、逆水平チョップが胸板に当たる音が会場に響いていた。 村山の胸板は真っ赤になり、赤を通り過ぎ紫と黒の間の色になっていた。 だが村山は胸を相手に突き出すことをやめなかった。それが..
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岩山さん。たまにすれ違う、ごつごつと岩のような顔をしている人がいた。 心の中で私は岩山さんと呼んでいた。 岩山さんと私が話したことはなかった。 ただすれ違うだけだった。私のことを認識しているのかすら知らな..
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しょうが。「しょうが買ってきて」 「え、面倒だからやだ」 「今日は湯豆腐にしようと思うんだ」 「うん」 「しょうががあった方が良いと思わない?」 「思うよ」 「じゃあ買ってきて」 「自分で行きなよ..
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片手運転。商店街を歩いていると、自転車に乗ったおじいさんがいた。 おじいさんは片手を少しハンドルから離して、片手で運転していた。 「危ないなあ」 片手で運転しているせいでふらふらとしている。倒れてしまうの..
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噛み屋の勘兵衛。「よく噛んで食べなさい」 子供のころからそう言われ続けていたので、何でもよく噛んで食べるようになった男がいた。 名を勘兵衛と言った。 勘兵衛はとにかくよく噛む男で、朝から晩まで何かを噛み続けてい..
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売り切れ。「売り切れかあ」 セールというのは、いつの時代も熾烈を極めるものである。 情報化社会が進み、店に行列ができるようなことは少なくなった。 だが、代わりにインターネットショッピングの発展が目覚ましく..
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ふわふわ病。久しぶりに料理をしてみた。 料理と言ってもただレンジでチンするだけ、あまりにも手軽だけど、一応野菜を切ったりしたから料理だ。 野菜を切って、肉を入れて、レンジでチン。 これだけだと味がしないので..