記事「栞」 の 検索結果 133 件
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リチャード・フラナガン 「奥のほそ道」 (決してあきらめない )「自分が父親にふさわしくないと自覚していてもあきらめなかったのは、何ごとに対しても最後まであきらめなかったからだ。決してあきらめないというそのこと自体が、自分自身が抱く個人的な恐怖に対する降伏なのだろ..
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古井由吉「晴れた眼」(立ち止まる)講談社文芸文庫「聖耳」32頁「立ち止まりはしなかった。散歩の途中でも立ち止まったり振り返ったりすることを厭う日はある。振り返ったそのとたんに、何十年も見馴れたはずの風景のほうが歩みを停めて、こちらの馴..
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古井由吉「秋の日」(無為に疎くなる)福武文庫「眉雨」102頁「どちらにしても多忙にしている身の、たまの骨休みか、為ることもない一日がはさまる。無為に疎くなった習性は、用心しなくてはいけない。」・・・104頁「興はまやかしか。事々に興も尽..
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古井由吉「槿」(節度)福武文庫「槿」170頁「すべて因果なんだ。不自由なんだ。しかしそう知ったところで、俺たちに何がある。神仏は知らん。あるのは節度、辛抱だけだ。しかし節度というのは、これは気が狂うよりも、狂おわしいもの..
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清永 謙著「清貧登山のススメ」山と渓谷社僕が山を登り始めた50歳頃に読んだのが清永謙著「清貧登山のススメ」だ。少し読み返しても、今の僕の登山スタイルを代弁してくれている。一言で言えばアンチ百名山。登山ブロガーの大多数がご同輩と思うが、登山..
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古井由吉「冬至まで」(ささやかなあらたまり)講談社 「雨の裾」247頁「それになずらえるなら、抜けかけた魂がまだ戻らぬところにこそ、あやうい澄明感はあり、またささやかなながらあらたまりもあり、考えようによっては奇跡のようなそのあらたまりが、さ..
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モンテーニュから(深くさぐりを入れる)「どのような満足についても、わたしは自分に相談してみるし、うわべだけをかすめとるようなことはせずに、深くさぐりを入れてみる(みすず書房、モンテーニュ エセー抄 宮下志郎訳 218頁」。以前の職場を辞..
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人生を変えた時代小説傑作選 五味康祐 『桜を斬る』(礼儀と作法)文春文庫「人生を変えた時代小説傑作選」 102頁 「技の出来るに従って高慢になるのは、人間やむをえない。それをふせぐ手段は一つよりない。礼儀をまもることである。礼儀は、美徳ではない。それは用心を意..
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J.L.ボルヘス『伝奇集』(刀の形)岩波文庫「伝奇集」 167頁 「一人の人間のすることは、いってみれば万人のすることです。ですから、ある庭園で行われた反逆が全人類の恥となっても、決しておかしくはないのです。」 ボルヘスは「七つ..
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ル・クレジオ『戦争』(百万もの眼)新潮社「戦争」 291頁 「おれには見るべきものを見ることができなかった、なぜならおれには百万もの眼が不足していたからだ。きみたちがこれらの徴を、これらすべての徴をおれと共に見るならば、破壊しみな..
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ル・クレジオ『逃亡の書』(世界は総和ではない)新潮社「逃亡の書」 290頁 「体系をつくるために物を識ろうとがつがつしている思想家。気のきいた言葉をつくるために世界を忘れたがっている役者。だが世界は総和ではない。世界は、どんな数字もその変化と逃..
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ル・クレジオ『黄金探索者』(かつての自分を捨ててしまう)河出書房新社「世界文学全集Ⅱ-09」 340頁 「元に戻れる希望なしに、かつての自分を捨ててしまうことがこわい。過ぎていく1時間1時間が、1日1日が、舳先に押し寄せ、船体を持ち上げては航海のなかに..