記事「森へ」 の 検索結果 27 件
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【森へ】 (15)* * 「変な顔。おサルさんみたいになってるぞ」 加奈子の顔を見た悟が冗談めかして言うと、加奈子は、 「お兄ちゃんこそ」 と言い返し、二人は同時に笑った。―― 朝目..
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【森へ】 (14)* * 日頃の生活態度から十分程度で教師は悟を解放した。悟が職員室のドアを開けると、廊下に加奈子が立っていた、泣きはらした顔で。 ごめんね、ごめんねと何度も言う妹に対し、悟は頭..
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【森へ】 (13)* * 「やーい、ちび」 「そんなに休むんなら学校来んな」 加奈子が生まれつき心臓に疾患があって体が弱いのは既に何度も先生が説明していたが、それでも検査や治療のため学校を休んだ..
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【森へ】 (12)* * ――学校の授業が終わりランドセルを背負って校庭へ出ると、校門の所で加奈子を見つけた。様子がいつもとは違い、うつむきながらゆっくりとしか歩いていない。 また体調を崩したのか..
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【森へ】 (11)* * しかしはっきり言葉に出ていなくても、態度や表情から、父親は少年が住み慣れた街を離れるのを拒絶しているということを感じ取った。そのため一回の説得では無理だろうと、 「すぐに..
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【森へ】 (10)* * 真剣そうな顔つきの父親を見て、仕方なく悟はテレビの音量を小さくして父親に向き直った。 「父さんな、街の方に転勤になるかもしれん。それでな、いつまでか分からんし、いっそのこ..
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【森へ】 (9)* * 牛の歩みは遅かった。牛が元々そんなに早く歩かないとしても、それ以上に。 馬、蛇、カラス、鷹といった生き物も森へと入っていく。馬や牛などはどこの牧場からやってきたのか..
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【森へ】 (8)* * 夏が過ぎたばかりの今の季節にトンボが飛んでいることは珍しくなく、悟は少し眺めただけで興味を失った。しかし加奈子の、 「トンボが消えちゃった」 という言葉を聞いて空を見..
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【森へ】 (7)* * そろそろ友達との遊びの約束に遅れる、と言い訳めいたことを考えながら悟はその場から立ち去った。 帰り道、かえるが少年とは逆方向に飛び跳ねていった。 悟が森の側に行っ..
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【森へ】 (6)* * 学校が終わり悟がいつものように通学路を歩いていると「森」が目に入ってきた。悟のいる道からは距離がある。それでも毎日家と学校とを往復していれば自然と目にはいるはずだが、その森..
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【森へ】 (5)* * (横になってればすぐに楽になれるのに) と、悟が思うほどその姿は痛々しかった。 犬は時折地面に血を滴らせながら家から離れていく。少年がそれを目で追っていくと、その先に..
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【森へ】 (4)* * 二日前の犬とは違う。二日前の犬はあれ以来姿を見せていない。あの犬は白かったが、目の前の犬は秋田犬のように茶色い毛並みをしている。 犬は歩き方がおかしかった。ゆっくりと、..