記事「筆者(き)の記事」 の 検索結果 187 件
-
カズオ・イシグロ『充たされざる者』を今更ながらに読んでみたカズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞したのは2017年のことだから、何を今更という感じがしないでもないが、カズオ・イシグロの長編は昨年発表された『クララとお日さま』が九作目で、そのうち二作目の『浮..
-
“Night and Day” 〜 コール・ポーターの「夜も昼も」とジャングルの謎コール・ポーターが作詞・作曲した「夜も昼も」。あまりにも有名な曲なので、わざわざ取り上げる必要もないと思う一方で、ちょっと気にかかる点があって、あえて和訳することにした。 Like the..
-
歌舞伎座二〇二一年九月公演『東海道四谷怪談』 〜 リアルの上を行く仁左衛門と玉三郎コロナ禍での歌舞伎座は、基本的に三部制での公演を継続している。上限五千人に観客数を制限しているのはもちろんこと、入れ替えの間には座席の消毒をして、食堂以外での飲食は禁止。幕間には頻繁に係員が場内を巡..
-
国立劇場二〇二一年九月文楽公演『卅三間堂棟由来』 ~ 文政四年の最先端国立小劇場に『卅三間堂棟由来』(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)を見に行った。 重要無形文化財保持者いわゆる人間国宝に認定されることになった桐竹勘十郎が出る『双蝶々曲輪日記』の第一部と、沼..
-
“I Fall in Love Too Easily”とミュージカル映画『錨を上げて』フランク・シナトラが歌う”I Fall in Love Too Easily”。チェット・ベイカーによるけだるい歌声のほうが一般的になっているけれど、実は1945年製作のアメリカ映画『錨を上げて』の..
-
『ゆきゆきて、神軍』とドキュメンタリー映画、またはニュルンベルク裁判のこと原一男監督の『ゆきゆきて、神軍』(※1)。昭和六十二年(1987年)にミニシアターで公開され、連日立ち見になったという伝説的なドキュメンタリー映画だ。忘れっぽい性格ゆえに、毎年夏、戦争についての本を..
-
小津安二郎『小早川家の秋』は豆腐ではなくガンモドキか松竹専属の小津安二郎が東宝に招かれて監督した作品が『小早川家の秋』(こはやがわけのあき)。昭和三十六年(1961年)の製作当時、東宝に所属していた俳優がまとめて出演していて、それだけで嬉しくなってし..
-
国立劇場二〇二一年五月文楽公演『心中宵庚申』 〜 「去る」にこめられた辛さ今月の文楽公演第一部は『心中宵庚申』(しんじゅうよいごうしん)(※1)。享保七年(1722年)に竹本座で初演された近松門左衛門作の人形浄瑠璃で、近松最後の世話物だと言う。『冥途の飛脚』や『国性爺合戦..
-
マルセル・カルネ『天井棧敷の人々』と犯罪大通りのオープンセット映画が始まってまず映されるのは劇場の幕。そこにドン!ドン!ドン!と床を踏み鳴らすような音が響く。クレジットタイトルが流された後、幕が上がると現れるのが市井の人々で溢れ返る「犯罪大通り」。観客は一気に..
-
成瀬巳喜男『浮雲』~ 高峰秀子の声と永遠の春の都ダラット成瀬巳喜男が監督した昭和三十年公開の東宝映画『浮雲』。以前TVの衛星放送で見ただけだったし、4Kリマスター版で上映されるというので、大雨が降る中を神保町シアターまで足を運ぶことにした。 『浮雲』..
-
『トムとジェリー』と「真ん中のお話」(TV放映全作品リスト付き)『トムとジェリー』が映画館で公開されている。「誕生80周年記念」で新作が作られたらしいのだが、もともと『トムとジェリー』は映画館向けに製作され、本編の間に上映された短編アニメーションなのだった。 ..
-
国立劇場二〇二一年二月文楽公演「吉田屋」「寺子屋」─『曲輪文章』『菅原伝授手習鑑』文楽を見に国立劇場小劇場へ。久しぶりというわけではなく、実はコロナ禍で劇場公演が再開されてから、歌舞伎座や国立劇場には何度も足を運んでいる。 幸四郎の『源氏店』(八月歌舞伎座) 勘九郎と巳之..