記事「連載小説」 の 検索結果 155 件
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あんでっど 八「そうかね。でも君は詳しく自分の体がどうなってしまったのか解ってはいないだろう。」と、東十条教授は言った。そして、にやりとすると、右手の人差し指を立ててから、 「いいかね。君が来る前、私はずっと..
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あんでっど 七的山は病院の出入り口を出た後、即座にタバコを銜えて火を点けた。そして、屋外の外来患者用の駐車場に停めた自分の会社の営業用の車に向かった。車には河流通運と書かれていた。すなわち、そこは、香織が真面目に勤..
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あんでっど 六大杉巡査部長と寺島巡査の言い分は、とにかく調書と報告書を作成しなければならないので、香織が凍死していたであろう現場を一度しっかりと見てから、そこから完全に裏付けが取られない様な嘘を考えて全員で口裏を合..
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あんでっど 五その夜、慶一が夜間に東十条教授の手伝いに行くということで、桜子の帰りを待たずに香織と夕食を食べ終わった頃、桜子が不機嫌そうな顔をして帰宅してきた。 「あーあ、疲れた。なによ、ひとが非番に働かされ..
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あんでっど 四その頃、桜子の家でシャワーを浴びていた香織は、そういえば、このシャワーも慶一と付き合っていた頃に話していた、夢のマイホームの通りに造られていて、確か、シャワーから打たせ湯に切り替えられる筈であった事を..
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あんでっど 三それから三十分程の間に香織を中心として、交通課の大杉巡査部長と捜査一係の寺島巡査は、目の前で起きている出来事を、どう判断してよいのか考えあぐねていた。 「なるほど、これは確かに、この世成らざるも..
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あんでっど 二その警察署は、街の中心からは幾分外れに位置しており、規模は小さいが、広く郊外を管轄していた。 「おい、調取部屋誰か使っているのか。」と、初老の制服姿の男性職員が言った。 「あ、交通課の近藤..
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あんでっど 一その夜、木口香織の心の中は天国への憧れと、自らの人生へのもどかしい後悔とが渦巻いていた。 <天国・・・ 愉快な天国、楽しい天国・・・ ・・・天国・・・ああ、天国・・・> 香織..
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上野上野介の面倒事 あとがきいったい、何故こんな事になったのであろう・・・。 そもそも、初めの予定では、心の中で幼い時から感情の一部が育たないままになって、不完全な気持ちを抱えて、社会に馴染めない冴えない中年の男の人と、複..
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上野上野介の面倒事 八十七回それから二日後。上野介が朝に起きてダイニングに行くと、美咲が上野介の朝食の用意をしながら、 「今日の、午後の飛行機で東京に行くから空港まで送ってくれる。」と、言った。 「えっ、突然だね。」..
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上野上野介の面倒事 八十六回その日の夕方、源一郎と詩織は玄関の前でぼんやりと座っていた。そもそも、そうなったのは、まず先に、源一郎が、とにかく外に出て深呼吸がしたかったのであるが、実体を無くして数年するうちに、意識をして行う深呼..
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上野上野介の面倒事 八十五回その日の夜、詩織はぼんやりとしたまま警察署の中の椅子に座って一夜を過ごした。そんな詩織を源一郎が明け方になって迎えに来た。 「帰ろう。」と、源一郎は詩織に言った。 詩織は源一郎を見ると、 ..
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