記事「飢餓列島」 の 検索結果 16 件
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飢餓列島17長谷川が共同体を作ってから1年半が経っていました。今や800人以上を擁するようになった共同体は、表向きは7人の実行委員が管理する形で、実質的にはその中の一人である長谷川がリーダーとして運営していました..
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飢餓列島15戸外ではまたみぞれが降り始め、風が鳴っていました。根上たちは長谷川たちの「第7地区共同体」に第1前哨として加わり、割り当てられた廃屋で他のものたちと過ごしていました。「リーダーに聞いたんだが、あんたが..
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飢餓列島14山の中腹から直接落下しているような那智の滝が、しばらく参道の間に見え隠れてしていましたが、やがてそれも樹木に遮られてしまいました。「もうじきよ。そのはずだわ」美子が乾いた声を出します。七里御浜に降り立..
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飢餓列島13東京ではいつの間にか雪は止み、夜明けにはまだ間がありましたが、あたりがほの明るくなっていました。初めは雑多な群集・暴徒として、闇雲にあちこちの邸宅を襲っていた連中はいつか合流し、自ずからリーダーや参謀..
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飢餓列島12日本列島は暗雲垂れ込めた低い空の下に、じっと静かにうずくまっていました。そこで何かが起こっているということが、全く非現実に思えるほど、少しもいつもと変わりがなかったのです。逃げ出せるものなら逃げ出した..
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飢餓列島11今日の午後6時頃、内閣が総辞職したことが伝えられると、防衛庁の佐官級の幹部が隠密裏に計画していたクーデターを実行に移したというのです。これほどの事態の急変は彼の予想には入っていませんでした。他の方面の..
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飢餓列島10長谷川は紀子に最後の説得を試みるべく、堂島から何度も電話をかけ続けていました。あと2、30分のうちに指令された場所、新宮市の近くにある、西日本商事の南紀第7地区共同体へと出発しなければならず、そうなれ..
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飢餓列島9長谷川の元交際相手の石井こずえは、ゼネストで世間が騒がしい中自宅に篭っていました。実はさほど彼に執着していたわけではなく、現在は西日本商事を辞めて他の会社で働いていました。そこでドアのノックが聞こえ、..
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飢餓列島8現政府の退陣と総選挙を要求する史上空前の無期限ゼストが始まろうとしていました。これが実行されれば、あらゆる産業がストップします。政府はあらゆる法律の適用を言明し躍起になって中止させようとしますが、具体..
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飢餓列島7その年10度目のハイジャックが日本で起こりました。犯人は国連の無限に遅延するアフリカ諸国への食糧危機救済を即刻実施することを要求していましたが、その後原因不明の爆発によって機は墜落しました。乗客600..
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飢餓列島6長谷川は大阪への転勤前に一言挨拶をするために鍋島のところを訪れました。鍋島は西日本商事が政府を信用せず、独力で生活可能な環境を作ろうとしている件で、幾つか質問します。「一つ、多数の企業がお互いに生き抜..
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飢餓列島5長谷川は西日本商事の東京支社に出社していました。西日本商事は関西系商社なので、本社は大阪に残されていますが、それはもはや形骸であり実質的にはこの東京支社が本社でした。そこに海老名という若い部下が報告に..
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