記事「小説」 の 検索結果 36259 件
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第214球マンモスの守野台(兵庫)アルプスに、彼はいた。ベンチ入りできなかった1年生野球部員。同級生の"出世頭〟飛浦海斗をうらやましく思いつつも、懸命に声を出していた。中学では県内でも名の知れた投手だった。そ..
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第213球ベンチ裏の大鏡の前でスパイクの紐を締め直した。5回から、そこに座っていた。ベンチにはあえて出なかった。やはりまだ無理だったか…。歯がゆかった…。肩で息する後輩の姿はそこからは見えない。でも、感じてい..
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第212球「ヨッシャーァー!」「ナイスファイト!」「ここから! ここからぁ!」「いける! いけるぅ!」…。テレビの前で大声を張り上げていた。たまたま家に遊びに来ていた、いとこの双子の小学生もつられるように、ワ..
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第211球終わって汗が一気に噴き出した。よく覚えていない。あの時、オレはどうしたのか。どうしようとしたのか。何が起きたのか…。後になって泣いたが、この時のことはどうしても思い出せなかった。あの瞬間だけ、記憶が..
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第210球マウンドで飛浦海斗(守野台=兵庫代表)は思わず天を仰いだ。打球がレフトスタンドに吸い込まれていく。と同時に「海斗マニア」の女性たちの声が…。気力だけで投げていた。声援などに支えられて投げてきた。だが..
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第209球取ったら取り返す。この繰り返しだった。気持ちと気持ちのぶつかり合い。双方ともに負ける気はなかった。当たり前だが、勝つ気だった。ただし応援だけは、がっぷり四つではなかった。地元・兵庫。加えてスター投手..
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第208球ここまでの打席は全部、三振だった。まったくかすりもしない無残な…。相手投手の球は130キロ台前半のストレートが中心だ。それにスライダー。それに対応できていなかった。でもチームメートは期待してくれた。..
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第207球試合は4-4の同点で7回に突入していた。両チームともに、流れをつかみそうでつかめない。どっちともツイているようにも思えたし、どちらともツイていないようにも見えた。激戦だったとはいえる。勝利の女神はど..
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第206球"巨人〟はマンモスでもひと際、目立っていた。プレーは地味だったが、十分インパクトはあった。話題にもなった。そして、このチームはこの男なくしては勝ち進めなかったのも事実だった。頭脳派、データ派…という..
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第205球「できる限り、何とかやってみます」。18歳になったばかりの高校球児は深々と頭を下げた。兵庫県内の某病院。お世話になった看護婦からも「応援するからね」と激励された。ときめいた。力がわいた。「ようやく…..
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第204球男だからな、と思っていた。しょうがないよな、と思ったことも正直あった。いろいろ考えた。でも、最後に行き着く答えはいつも同じだった。何となく、これが当たりじゃないか、と思った。想像して笑った。それだけ..
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第203球空がまぶしかった。雲ひとつない。「きれいなものだな」と思った。室内にいるから暑くない。でも、きっと、あそこは…。「空の色を気にしたことってなかったなぁ」とぼんやり考えた。「こういうことって、こういう..