記事「日経新聞」 の 検索結果 2588 件
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『等伯』(32)信春は戸を叩いた。店には泊まり込みの者がいるはずだが、反応はなかった。 くぐり戸をゆすってみると、戸は拍子抜けするほど簡単に開いた。錠をさし忘れたに違いない。何と無用心なことだと思いながら店..
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『等伯』(31)空は陰鬱に暗かった。 信春は息苦しいばかりの空の低さに腹を立てた。こんな天気に封じ込められているから、能登の人間は駄目なのだ。 (だからいつまでたっても、新しいものが生み出せないのだ) ..
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『等伯』(30)明け方の薄青い闇の中を、信春は急ぎ足で家に向かった。 兄への怒りで、胸がはり裂けそうだった。 「武之丞は主人公、そちは家来と思え」 幼い頃から、父にそうしつけられてきた。食事も父と兄だ..
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『等伯』(28&29)あたりが薄暗くなるのを待って、信春は港の近くにある本延寺をたずねた。 本堂は間口八間もある大きなもので、すでに百人ばかりが集まっていた。正面には、父宗清が描いた法華経本尊曼荼羅図がかかげてあ..
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『等伯』(27)本延寺は奥村家の菩提寺である。信春や武之丞が参籠しても誰にも怪しまれない。そこで落ち合って起請文と道中手形を渡すつもりなのだろう。 信春はそう察し、それなら直接会って断ったほうがいいと思い直..
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『等伯』(26)家にもどると、仕事部屋に直行した。武之丞に断りの文を書こうと筆を取り、呼吸をととのえて考えてをまとめた。 信春は思考の道筋を立て、武之丞に何と言われても動じない手応えを得てから文を書き始めた..
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『等伯』(25)信春は反応の冷たさに身をすくめた。 誰もが口を閉ざしたまま冷たい目をしている。 これは七人衆の強権政治がもたらしたものだ。五年前に畠山父子を七尾城から追放した彼らは、父子を支持する旧勢力..
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『等伯』(24)「ちがうよ。ここが好きなんだ」 久蔵は桜が一番美しく見える位置を直感的にさがし当てている。そのことに信春は血のつながりの強さを感じ、膝に抱き上げて花の描く方を教えはじめた。 「まず全体の形を..
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『等伯』(23)やがて三月末になり、北陸の桜がいっせいに開花いた。 長谷川の中庭の八重桜も、薄紅色の重たげな花をつけている。 この桜は無分が都から持ち帰ったものだ。絵仏師の修行をするために都に滞在してい..
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加湿できます、日経新聞・新製品バトルというコラムで紹介されていました。 今回は、加湿空気清浄機でした。 KC-Z65(シャープ) カーテンのにおいも抑制してくれます。 花粉症シーズン..
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『等伯』(22)(義父上はすべてを知った上で、やめておけと釘をさされたのではないだろうか) 宗清はそうした配慮ができる男である。 もしそうだとしたら、義続らの計画はすでに外にもれているということだ。 (..
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『等伯』(21)信春は消極的だった。一乗谷への使いのことで頭が一杯で、他のことは考えられなかった。 翌日から信春はいつもの暮らしにもどった。 卯の刻、朝六時に目を覚まし、七時には家族そろってご本尊の前で..