記事「小説」 の 検索結果 36259 件
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第52話 不幸は単独でやって来ない-14ピエールはウーゼに向かって急ぎに急いだ。兄はああ言ってくれたものの、ピエールとしてはディマンシュの死はやはり自分に責任があるという思いから逃れるわけにはいかなかった。しかし、その思いをただ感情のまま..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-13二人のやりとりを見ていたロランはジャンに言った。 「せっかく再会できたばかりだというのに…。少しぐらい休ませてやってもよかっただろうに。」 「ロラン、君のような昔なじみにだけは言っておくが、これ..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-12「あれはディマンシュが乗っていた馬だ!」 ジャンの顔に明るさが戻ってきた。しかし、その馬から降りてきたのは彼の弟であった。 「ピエール!」 ジャンは弟を抱きしめたい衝動に駆られたが、なんとか..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-11こうしてディマンシュがリヴェールの小屋から出るに出られない状況にある一方で、ジャン・カヴァリエ率いるカミザール本隊も惨めな状態にあった。生き残った者たちは肉体的にも精神的にも傷ついていた、皆の疲労が..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-10その衣を着ることはディマンシュとっては屈辱でしかなかった。それに加えて過去の悔恨までもが蘇ってきた。かつて彼は修道士に変装して教会の書庫に入り込んだのだった。『自由の法』を探すためとはいえ、とても他..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-9ディマンシュの意識はいつの間にかその本の活字が織りなす世界の中に入ってしまっていた。彼は今自分がどこにいて何をしている最中なのかをすっかり忘れていた。もちろん、ふさがれた戸口が無理矢理に押し開けられ..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-8神父が外に出ていった気配を感じたディマンシュはさっと飛び起き、戸口に中から心張り棒をかけた。この小屋はいくつもの部屋が縦に連なっており、一つ一つの部屋は別の部屋を通らなければ外に出られない造りになっ..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-7『さて、どうしたものか…。』 目の前の青年をしげしげと見ているうちに神父はあることに気が付き、笑いの発作に襲われた。 「ぷっ、私としたことが。」 ディマンシュははじめ自分がなぜ笑われているの..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-6神父は事態を転換させようと新たな試みをおこなった。 「ところでお前に聞きたいことがある。お前の父親はオーギュスト・ブライユだな。」 ディマンシュはこの名前に鋭く反応した内心を気取られないように..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-5ディマンシュの攻撃に対してただ突っ立ていただけと見えた神父は、いつの間にか彼の喉元に、先の鋭くとがったフルシェット(フォーク)を突きつけていたのだった。 「う…。」 ディマンシュは青ざめた。 ..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-4ディマンシュが目を覚ましたのはそれから一昼夜が経過して後であった。 「やっと目が覚めたか。食事を用意しておいた。」 ディマンシュの目の前には僧服を着た鋭い目つきの男が立っていた。食卓の上には彼..
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第52話 不幸は単独でやって来ない-3彼は自分が大声を出してしまったことに気付くこともなく、その場に呆然と立ちすくみ、男の顔を見つめ続けた。 「そんな馬鹿な…。あれからもう何年経つというのだ? それなのに、あのころのまま…いやむしろま..