記事「小説」 の 検索結果 36259 件
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第46話 春を呼ぶ女たち-26マリエットは恋の喜びも哀しみも知っていた。ただ、彼女がこれまで愛したのは皆誠実な男たちであったため、そうでない男が「愛」の名の下に何をどう考えどう振る舞うか、彼女は知らなかった。 マリエット..
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第46話 春を呼ぶ女たち-25アレクサンドルはマリエットをこと恋に関しては幼児のような無邪気な情緒しか持っていないと思いこみ、その堅い蕾を自分に対して花開かせることを夢見た。生真面目な聖女が彼の口づけによって初めてその目を潤ませ..
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第46話 春を呼ぶ女たち-24しかし、ここで新たな人物がこの場に登場した。カトリーヌであった。彼女は病室での一件の後自分の寝室に戻っていたのだが、どうしても寝付かれなくてこの集会室にやってきたのだった。静かに自分を見つめ直そうと..
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第46話 春を呼ぶ女たち-23アレクサンドルは自分の先走った想像から現実に巻き戻り、この場にふさわしい言葉を選んだ。 「喜んでくれてうれしいよ。君にきっと似合うと思っていた…。」 「似合うですって? あたしは着ないわ。」 ..
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第46話 春を呼ぶ女たち-22そのころマリエットは集会室で一人静かに祈っていた。その背後に忍び寄る者がいた。マリエットはその気配を感じて振り向いた。それはアレクサンドルだった。彼は手に何か包みを抱えていた。 「アレク、あなたも..
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第46話 春を呼ぶ女たち-21ディマンシュの熱は少し下がったようであった。そのせいか、彼は以前の調子でアルに語りかけた。 「アル…、驚かしてすまなかったな。」 「なあに。そういえば、おれはまだ戦場に一度も出たことがなかったな..
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第46話 春を呼ぶ女たち-20「アル!!」 それまで昏々と眠っていたディマンシュがいきなり悲痛な叫び声をあげた。驚愕と恐怖と悲嘆がいっしょになって彼の顔面を凍り付かせていた。 「発作だ! どうした。大丈夫か。」 アルはす..
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第46話 春を呼ぶ女たち-19「そんなことは罪の内には入らないよ。」 「でも、わたし…、その時みだらな気持ちを抱いていたわ。それからも、その時のことを思い出すたびにみだらな気持ちになるの。わたしにこんな気持ちを起こさせるこの唇を..
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第46話 春を呼ぶ女たち-18「…おれには、もう、神に愛を誓った人がいるんだ。」 カトリーヌの目は驚きに大きく見開かれ、そしてそこから涙があふれてきた。 『ああ、おれは彼女を傷つけてしまったんだな…。しかし、おれには嘘は言え..
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第46話 春を呼ぶ女たち-17アルは正直なところこれまでカトリーヌをそのような対象として見たことはなかった。カトリーヌだけでない。シャルロットと一緒に暮らした短い数ヶ月の間はもちろんのこと、シャルロットとむりやり引き離されて彼女..
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第46話 春を呼ぶ女たち-16しかしそれでも懸命に記憶をたどるとひとつの懐かしい光景が見えてきた。病気で死にそうになっていたマルトにロランを会わせようとしてポワーヴルと一緒に奔走した時のことを。回復したマルトとロランをポワーヴル..
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第46話 春を呼ぶ女たち-15セヴェンヌの山中で新たな形態で攻防が続いている間もディマンシュの容態は変わらなかった。いやむしろ肉体的な症状は悪化していた。高熱が続き、衰弱の度合いが日ごとに増していった。アルとロランは交代でディマ..