記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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七 嵐の残したもの(12)「人間じゃないの」 「マネキン人形よ」 「何だってこんなところにマネキンが流れ着くのよ」 彼女たちが指差す先には、妙な形に捻られた両腕を空に向かって突き出した人形のようなものがあった。 上..
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七 嵐の残したもの(11)荒れ果てたグランドを見渡しながら、さいたまリトルリーグの関係者は大きな溜め息をついた。 バックストップは流れてきた流木でずたずたになっており、内野グランドは汚泥に覆われていた。 試合のときに..
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七 嵐の残したもの(10)何しろ固定電話にしろ、携帯電話にしろ、協力するつもりの無い者は電話に出ることが無かったからだ。 そう言った意味では、リトルリーグの連絡網の方が確実なのかも知れない。 仕事ではないし、義務でも..
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七 嵐の残したもの(9)「分かりました。連絡網のとおりに繫いで行きます。私ですか、土曜日は多分大丈夫です。早くグランドを復旧させないと、大会に間に合いませんからね、できるだけ多くの人に集って貰いましょう」 ..
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七 嵐の残したもの(8)それでも祐太が所属するさいたまリトルは恵まれている方だった。 指導する古くから所属している監督・コーチがそれぞれの親たちが抱える状況を理解しており、決してグランドに来ることを強要する訳でもなく、..
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七 嵐の残したもの(7)昨夜から降り続く大粒の雨が雨戸を叩く音を聞きながら、これでは荒川の河川敷にあるリトルグランドも危ないなと思ったときに、九鬼の家の電話が鳴った。 電話はリトルリーグ関係者からの連絡だった。グランド..
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七 嵐の残したもの(6)堤防の補強工事の為に用意されていた土砂山も排水溝も、元の姿を留めてはいなかった。 それでも洪水対策の緩衝スペースとして用意されていた部分で濁流は収まっているのだから、市の想定していた洪水対策とし..
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七 嵐の残したもの(5)堤防を越えて溢れ出した川の水を、それらの施設が立地する面積によって市街地までの流入を阻止しようとしてのことだった。 普段であればゆったりと流れる川の水を緩やかな曲面は受け流すことができているが、..
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七 嵐の残したもの(4)幾度もの台風の襲来を受けて、荒川の堤防は徐々に万全の態勢をとるようになっていた。それでも予想外に多量の雨をもたらすようなときには、積み上げられた堤防を越えて、川の水が溢れ出すことがある。 この日..
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七 嵐の残したもの(3)何としてでもホアホアの所在を突き止めて、身柄を警察に渡さなければという強い思いが九鬼を捉えて放さないでいた。 そうした思いに囚われているときには、良い結果が得られないというのは百も承知していた九..
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七 嵐の残したもの(2)雨も風もますます強く激しくなっているようだった。雨戸を閉め切っているせいで、灯りのない室内は薄暗くまるで夜遅くに起き出したような感じがする。 九鬼はゆっくりと玄関を開けて、郵便受けの中に新..
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七 嵐の残したもの(1)九鬼家の週末の朝は早い、祐太が野球をやっているからだ。 でもこの日は違っていた。台風の接近にともない昨晩から風雨が強まっていて、今日の練習は中止との連絡が入っていた。 久し振りに朝寝坊をしよ..