記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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五 狂い行く歯車(11)片岡の足は自然と速くなる。 メイランの在留期限が迫っていたからだ。 ずっと外国人登録の係やっている片岡は、それまで何人もの「在留の資格なし」と記載された外国人登録証を見て来ていた。 メイ..
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五 狂い行く歯車(10)それでも片岡はメイランとこのまま付き合い続けることができるのなら、メイランの存在が片岡の妻ということでなくとも、きちんとした仕事を持った一人の女性として、そこにいるのであれば構わないと思っていた。 ..
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五 狂い行く歯車(9)片岡は北浦和駅で下車した。メイランから聞いていた富樫と言う名の行政書士を訪ねるためだった。 中国人の夫と離婚したメイランは、片岡の求婚には応じなかった。離婚して直ぐの再婚などあり得ないという気持..
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五 狂い行く歯車(8)そのとき部屋の灯りが一斉に灯り、九鬼の引き出しを探っていた柴崎の手が止まった。 「柴崎!何を探しているんだ?」 処遇部門の上席入国警備官が扉の横に立っていた。 そこへ大声を聞きつけて、仮眠..
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五 狂い行く歯車(7)柴崎の持つ懐中電灯は、九鬼の机の引き出しに当てられていた。躊躇うことなく柴崎の手は一番上の広い引き出しを開けた。 そこに小さな鍵が入っていた。柴崎はその鍵を手に取ると、左端の袖机を開ける。そこに..
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五 狂い行く歯車(6)あれだけの金を稼いでいたのだから、劉が何に手を出しているのかは分かっていた。劉は儲けこそ大きいが、危険極まりない仕事に手を出したのだった。 当座の資金が必要だったホアホアは、それを知りつつ黙認し..
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五 狂い行く歯車(5)稲川とホアホアは以前に借りていたビルの一室に入ると、窓から外を眺めた。追尾してきた車は、ビルの入り口から5メーターと離れていない位置に駐車している。 二人の男がビルの入り口を監視しており、その視..
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五 狂い行く歯車(4)振り返って思えば、最初は利用するだけだと言っていた日本人の女が、夫婦の関係に口を挟み始めた頃からだった。 自分も夫がいる身でありながら、夫が浮気しているのを理由として、陳との関係を強めようと積極..
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五 狂い行く歯車(3)メイランはその日も終日じっとしているしかなかった。 在留資格の変更を申請してから、もう二ヶ月になる。富樫は心配無いと言っていたが、メイランはじっとしていなければならないことに耐えられなくなってい..
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五 狂い行く歯車(2)照明が落とされた真っ暗な調査第一部門の部屋に,懐中電灯の光が灯台のように周囲を照らした。 懐中電灯を持つ男は、暗がりに慣れた感じで調査第一部門の首席入国警備官の机を手始めに、三人いる統括入国警備..
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五 狂い行く歯車(1)首都高を降りたホアホアたちは、ぴたりと後ろに付いてくる車に乗っているのが何者なのか、警察か、入管か、それとも対立する組織の者なのか、判断に迷っていた。 不正入手した日本旅券の行使で追いかけて来て..
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四 消えた日本人(12)大渕は浦和駅で、東北地方に向かう息子と別れた。遠路はるばるやって来てくれた気持ちには、何も応えることができない結果となった。 父親の消息が分かったら、必ず連絡することを約束した。 多数の日本..