記事「日経新聞」 の 検索結果 2563 件
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『ふりさけ見れば』(220~225)遣新羅使には大宰府からの使者も同行している。その中に真備の知り合いの大伴三好の姿もあった。 「恐れ入りますが、それ以上は近付かないで下さい」 柿色の口当て(マスク)をした三好が部屋の入..
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『ふりさけ見れば』(214~219)「本日お伺いしたのは、お願いがあるからでございます」 真備は居住まいをただし、葛城王の賜姓問題について切り出した。 「そのことはすでに決まっとると聞いたが」 「葛城王さまが朝議をご欠..
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『ふりさけ見れば』(208~213)「中臣名代どの、ご帰朝おめでとうございます。よくぞご無事でいて下された」 真備は唐風に拱手して迎えた。 「おお、真備どの。お懐かしゅうございます」 真備は名代だけを船宿に案内した。..
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『ふりさけ見れば』(200~「もしここで朝廷が禄山の処刑を強行したなら、幽州を守る兵士たちの不満と怒りが陛下に向かうと思わないか」 「確かにそうだ。いや、そうなるに違いない」 王維は仲麻呂の論理の器に、水にのよう..
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『ふりさけ見れば』(194~199)「本当に受けとるつもりはありませんので」 「いいのですか。こちらの好意を拒めば、付き合いを断つと言うも同じですよ」 「それは言いがかりというものです。私は立場上受け取れないと言っているだ..
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『ふりさけ見れば」(188~193)国の基本は律(刑法)と令(行政法)である。中でも軍法は何より厳しく守られるべきもので、私情や温情によってこれを曲げれば、軍隊を維持することはできなくなり、国家の滅亡を招く。 九齢はそう..
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『ふりさけ見れば』(182~187)仲麻呂が王維に資料を渡された二日後、玄宗皇帝は張九齢と李林甫を御前に召し、寿王李瑁を開府儀同三司に任ずるべきかどうか諮問した。 まず口を開いたのは、李瑁を推した李林甫だった。 「開府..
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『ふりさけ見れば』(176~181)すると高力士が、真成に尚衣奉御の位を贈るように取り成したのは、真成の死因を隠すためではなく、急死を悼んでのことだろう。仲麻呂はそう気付いたが、心は一向に晴れなかった。 いったい真成は、..
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『ふりさけ見れば』(170~175)五月下旬、仲麻呂は蘇州に向かう中臣名代らを見送るために、洛陽東郊の積潤駅まで行った。 「日本にもどって皆さんに再会されたら、よろしくお伝え下さい。仲麻呂は唐で元気に暮らしていると」 ..
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『ふりさけ見れば』(164~169)第四章 「それぞれの道」 三泊四日の滞在を終え、阿部仲麻呂と張若晴は洛陽に向かうことにした。 「ねえ。今度生まれる子は、男と女どちらがいいですか」 「女の子かな」 「あなたに似て頭が良..
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『ふりさけ見れば』(158~163)「遅くなってすみません。薬草店のご主人が、栽培している畑を見てくれとおっしゃるので」 「この匂いは、その薬草かな。いつもとは違うようだけど」 「いろいろと混じり合ったのかもしれません。何..
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『ふりさけ見れば』(152~157)難波津で遣唐使船の出港を待っていた時、装備の不足で出港を十日ほど延期すると告げられた。 その間所在なく過ごしていたが、ある時下道(吉備)真備が河内の温泉に行こうと言いだした、 「航海..