記事「日経新聞」 の 検索結果 2564 件
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『琥珀の夢』(104~107)その年も(明治二十六年)、あとわずかで終ろうとしていた。 イギリス、フランスなどの欧州列国とアメリカがアジアに勢力をひろげるために、積極的に政治干渉、植民地政策を進めていた。 日本国内で..
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『琥珀の夢』(101~103)「えっ、コハクイロ? それどういう色だすの」 「王偏に虎、王偏に白と書いて琥珀や」 「その琥珀って、唐薬で使う琥珀のことだっか」 「そうや、見たことあるか」 「いえ、なにしろ高い薬材で、店..
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『琥珀の夢』(97~100)秋も終わろうとする十一月の下旬、道修町の守り神である少彦名神社の例大祭が行われた。 前日の宵宮から本祭のある翌日は道修町の大半は“半ドン”(午前中で仕事終り)になった。 「マキ、何か嬉しそ..
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『琥珀の夢』(94~96)小西儀助は、野望を抱いてはじめたビール製造、販売の夢を五年前に断念した。総額で二万円の投資を浪花の川水に捨てる結果となった。 それでも儀助は自分の夢を簡単にはあきらめなかった。そこに利益を上..
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ベッキー29日版の日経新聞に、見開きで宝島社の広告が掲載されてます。 「あたらしい服を、さがそう。」というコピーとともに。 ベッキーの再出発っていう意味かもしれません。 以前のように..
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『琥珀の夢』(90~93)「少し遠回りをすれば川を渡れる浅い瀬があるのを主人も、場番頭も知っとる。舟賃を出せば、商いの利がならん。利がならん仕事は商いやない。それを覚えんのが商いの修業というもんや。わては、その日の午前中、..
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『琥珀の夢』(86~89)儀助との“夜鍋”が夜明け方まで続いた日の昼間、飯膳の前に座っていた信治郎はいきなりうしろから頭を殴られた。 「何をうとうとしてけつかんのや。このガキが」 振り返ると弥七が鬼のように目を見開..
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『琥珀の夢』(82~85)兵作がいなくなって、弥七は何かにつけて信治郎に辛くあたった。自分の用もそうだが、他の丁稚の用でさえ信治郎にやらせた。 ところが信治郎は弥七から言いつけられる仕事を嫌がりもせず、へぇ~い、と大..
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『琥珀の夢』(79~81)翌明治二十六年二月、軍艦製造費をめぐって前年から対立していた政府と民党を中心とする議会に対して、明治天皇が“和衷協同”を希望し、文武官僚は俸給の十分の一を献納するよう詔勅を下した。 道修町は..
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『琥珀の夢』(76~78)二階へ上がると行灯が点っていた。 わずかに開けた窓から入る川風が行灯の火を揺らした。 ――ぎょうさんの送り火やな……。 信治郎は自分が少し感傷的になっているのに気付いた。 ――女..
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『琥珀の夢』(72~75)「ハッハハ、何だすの、その言い方……。ここは茶屋でっせ」 「信はんは真面目なんや。けど堅人とは違うで」 「そらそうでっしゃろ。浄瑠璃聴いて、茶屋で休んで、これから南地でっか」 「よけいなこと..
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琥珀の夢(46)小西屋の命風が出てきた。伊助が常吉を呼ぶ声が聞こえた。しかし常吉も富次もいないのを見て、信治郎は帳場に走った。 「風が出てきたさかい、表に水を撒き。それと二階の薬部屋の格子も閉じ」 信治郎は店の前に水を..