記事「日経新聞」 の 検索結果 2564 件
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『迷いの旅籠』(75~77)死人の旅籠――。 先生、おかしいよ。先生、正気なの? こそり。 軽い音がして、塚をか彩る手前の風車の羽根が動いた。 「おや、風が出てきたのかな」 こそり、こそり、こそり。次から..
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『迷いの旅籠』(72~74)「実はね、この村を訪れる以前、いったん江戸に立ち戻った際、ある商家と話がついて、私のその考えを試すことになったんだ」 その商家の、疫病で夭折した娘を呼び戻すため、娘の寝起きしていた一室に、在り..
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『迷いの旅籠』(70&71)「眠らず、飯も食べず、どんどん衰えていった。私は狼狽えるばかりで何もしてやれなくて。 だから、妻のために絵を描いてやったのだ。 あの子が笑ったり、遊んだり、妻に抱かれて眠ったりする絵を、次..
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『迷いの旅籠』(67~69)おつぎはいったん目を伏せ、次をどう語るか考えているようだ。 「明くる日――立春の前の日は、朝から離れ家は大わらわでした。村のみんなが見物に来たもんだから、あっちこっち汚れちまって。 おらは..
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『迷いの旅籠』(64~66)「なあ、おつぎ。おめえホントにご隠居様を見たのか」 おつぎは返答に困った。確かに見た。が、今では夢だったようにも思えるし、こうなってくると、見なかった、見間違いだったと言った方が、事が丸く収ま..
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『迷いの旅籠』(61~63)「あれはご隠居様じゃねえ!」 「だって己之助さん――」 「いかん、いかん!」 「ご隠居様とは――」 石杖先生が土間の煙抜きを見て、それから一同の顔を見回す。 「名主殿の父上のことだよね..
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『迷いの旅籠』(58~60)「一平、その子を村に連れて帰ってくれ」 一平とおたまが去ると、また作業が始まり、離れ家のなかは元に戻った。 「さあ、今日はここまでにしようか」 夜のあいだは、雨戸と板戸を戻しておく。みん..
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『迷いの旅籠』(55~57)息をはずませて離れ家に戻ると、騒ぎが起きていた。おたまが縁側で延びていて、その顔を貫太郎が心配そうに手で扇いでいる。 「この娘が急に、きゃっといってひっくり返っちまったんだよ」 先生たちが..
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『迷いの旅籠』(52~54)「あ~あ、面倒だねえ」 昼飯が終わり、片付けをしていると、おたまはぼやいた。 離れ家では煮炊きができない。食べ物は日に三度、昼前と、昼飯と、おやつを出すのだが、名主様の屋敷で炊き出ししても..
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日経新聞日経新聞がイギリスの経済紙FTを買収したそうです。 昨日の日経新聞の1面にデカデカと掲載されていましたが、自分で「世界一のメディア誕生」と 書くのはどうなんでしょう?微妙...
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『迷いの旅籠』(50&51)小森村の人びとは、つましく正月を迎えると、すぐ離れ家の修繕に取りかかった。 一平は自分から村長に願い出て、修繕と片付けの手伝いをすることになった。 「離れ家にご隠居様がいるころ、おなつも通..
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『迷いの旅籠』(48&49)「離れ家の板戸と雨戸をみんなとっぱらって、障子戸にして紙を貼れば」 離れ家がまるごと、大行灯のように見える。 「それが石杖先生の案なんだね」 おっかちゃんはおっかない顔をした。 「よく..