記事「日経新聞」 の 検索結果 2564 件
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『禁断のスカルペル』(312&313)翻身(三)&(四) 「純子ちゃんは初めから、自分の腎臓をお父さんにあげるって決めていた。『自分の身体は神から与えられたものだから、それを必要な人間に渡すのは当然のことだ』と言われて、返す言葉がな..
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『禁断のスカルペル』(310&311)翻身(一)&(二) ――バックス、展開だ、展開だ! そうだパスを回せ、パスを! 敷地に入ると、グランド脇の小さなスタンドに陣取った内海康雄の大きな声が聞こえた。 「おお、トンコ先生、お待..
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『禁断のスカルペル』(307~309)説得(十三)&(十四)&(十五) あまり知られていないが、東北地方には大弾圧で知られる岩手県の大籠の隠れキリシタンなど、昔からのキリトス教信者がけっこういる。 しかし伊達湊のハリストス正教..
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『禁断のスカルペル』(305&306)説得(十一)&(十二) 「当時、母を亡くしたばかりで、その母が好きだった歌の花が本当に咲いているなんて信じられなくて、吃驚しちゃったのよ。 ほんとはね、歌に歌われていてもエリカの花なんて実在..
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『禁断のスカルペル』(303&304)説得(九)&(十) 「ちょっと悪いけれど、このCDをかけてもらえるかしら?」 かねて用意のCDを取り出すと和泉に渡した。 「何です、これ? 西田佐和子って?」 「知らない? 昔は『アカシ..
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『禁断のスカルペル』(301&302)説得(七)&(八) 「中城ふみ子なら、私も知っているわ。彼女のどんな歌が好きなのかしら?」 「いろいろありますけど、例えばこの≪貴重なる愛を秤にかけらると露はにされし身が火照りつつ≫なんて、い..
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『禁断のスカルペル』(299&300)説得(五)&(六) 拓馬の妻は余り多くを語らなかった。 しかし、ときに「大丈夫かしら?」とか「絵里香はあれで勘が鋭いから」などと差し挟む言葉が、そのたびに正鵠を射ているように感じられて、東..
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『禁断のスカルペル』(297&298)説得(三)&(四) 木下女医について言えば、彼女は二年前、東子が伊達湊病院の泌尿器科部長に就いてから、“猟官運動”を始めた。陸前会の他病院の相応のポストにつけてほしい、と当時仙台にいた金森弁護..
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『禁断のスカルペル』(295&296)説得(一)&(二) 「そうか、そんなに頑固か?」 強情で、梃子でも動かないといった絵里香の状況を報告したとき、陸奥は腕組みして頷くようだった。しかし、しばらく考え込んだあと、ふと、嬉しげな声..
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『禁断のスカルペル』(293&294)絵里香(七)&(八) 「それは哲学的な疑問だわね。でも、それって、もっと実際的に考えていいことじゃないかしら。もう一人の腎臓を抱え込むというけれど、それは突き詰めると免疫系の問題でしょう? ..
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『禁断のスカルペル』(291&292)絵里香(五)&(六) 「…私がダメだったから。だから祖父の腎臓も、母の腎臓も合わなくて、その宝物をみすみす流してしまいました。 世の中には移植したくてもできない人、してもらえない人がたくさん..
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『禁断のスカルペル』(289&290)絵里香(三)&(四) ノックをして病室へ入っていったとき、絵里香は最初、ベッドに上半身を起こした格好で東子を迎えた。 「はじめまして。主治医の柿沼です。後からもう一人、陸奥という男の先生が顔..