記事「ミステリー小説」 の 検索結果 367 件
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お奨めミステリー小説 (291) 『ハルモニア』 篠田節子本人がどう思っていようが、これは篠田節子の代表作である。 限られた登場人物で長い物語を持たせる筆力は相当なものだ。 しかも、その多くがチェロのレッスンシーンなのだ。 本作は芸術論や倫理学、音..
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お奨めミステリー小説 (290) 『哲学者の密室』 笠井潔笠井潔を語る上で本作を避けては通れない。 強固な密室殺人を描きながら密室そのものを哲学的に論じた代表作である。 そして20世紀ミステリー史上の金字塔の一つともいわれる。 本作は夢野久作『ドグ..
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お奨めミステリー小説 (289) 『リセット』 北村薫タイトルからどんな内容か分かりそうなものだが、それはどうでも良い。とにかく、作者の見事な文書術に酔いたい。 前半の舞台は神戸近辺、ハイソサエティの女子学生のたわいない話のようだが、時代背景が戦前..
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お奨めミステリー小説 (288) 『お蝶ごろし』 多島斗志之この短編小説は歴史的事実に基づいて書かれている。しかし第三者が細部までは知り得ない内容まで、ドキュメンタリータッチで描かれている。まさに“見てきたような嘘”であり、作者の力量が分かるだろう。 小..
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お奨めミステリー小説 (287) 『フランドルの呪画』 A.P.レベルテ少し珍しいスペインのミステリー作品だ。アメリカの現代ミステリーにお決まりの美男美女コンビやタフガイの刑事、反骨のジャーナリストなどは登場しない。代わりにゲイながら深い教養と精神世界を持つ古美術商セサル..
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お奨めミステリー小説 (286) 『幻影のペルセポネ』 黒田研二同作者の 『カンニング少女』 はカンニングという行為に生きがいを見いだす若者の生き方を問う妙にさわやかな作品だった。本作ではネット上のヴァーチャル空間と現実の世界に平行して起こる殺人を描きながらも青春..
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お奨めミステリー小説 (285) 『めぐり会い』 岸田るり子岸田るり子といえば、不可能なシチュエーション)とその合理的解決、さらに京都の四季の風物だ。 本作でもそれらの特徴が遺憾なく発揮されている。 トリックはあっさりめで少したわいないが、そこに至るま..
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お奨めミステリー小説 (284) 『悪魔はすぐそこに』 D.M.ディヴァイン長らく“幻の作家”だったディヴァインだが、1990年代後半から日本語訳が出始めて「こんな作家がいたのか」と驚かせた。こうしたコピーははったりであることも多いが、ディヴァインに限ってはその通りだ。クリス..
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お奨めミステリー小説 (283) 『絆』 小杉健治作者の小杉は筋金入りの社会派ミステリー作家だ。ただし清張の描く政治や巨悪よりも、市民が巻き込まれるタイプの作品が多い。また早い時期から法廷ミステリーを書いていて、探偵役も原島をはじめとする弁護士が務め..
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お奨めミステリー小説 (282) 『ロシア幽霊軍艦事件』 島田荘司作者は『奇想・天を動かす』で幻想的な味わいの大トリックと社会派小説を融合して見せた。本作は歴史ミステリーと大トリックが(ある程度の)必然性を持って結びつく点が特異だ。 『ロシア幽霊軍艦事件』とは..
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お奨めミステリー小説 (281) 『動物園の密室』 霧舎巧作者のペンネームの名付け親は名探偵、御手洗潔の産みの親、島田荘司だ。 そして当の島田からパロディ作品を依頼されて書いたのが本作だという。 冒頭のエピソードから始まって、御手洗の言葉で語られる官..
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お奨めミステリー小説 (280) 『母子像』 久生十蘭プロの作家をも唸らせる久生十蘭の短編の中でも短い作品で、きわめて凝縮された内容だ。 世界短編小説コンクールで一位に輝いたそうだが、第二次大戦直後の焼け跡日本でしか生まれ得ない小説だろう。 『久..