記事「幽界通信」 の 検索結果 63 件
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「西芳寺」 「三月堂」 (詩集「幽界通信」より)。西芳寺 うすもみじ 水に映じ 時雨にさびた苔の雫 胸にしたたるも 溢るるもの阻まれて 凝縮す
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「花」 「世」 (詩集「幽界通信」より)。花 堪えがたい思いに 莟の律(おきて)をやぶり
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「蝶」 (詩集「幽界通信」より)。奔瑞のしぶき
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「赤石」 (詩集「幽界通信」より)。梅の花 かなしい生命(いのち)の發條 陽はさりげなく 花うらを染め……
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「回歸」 (詩集「幽界通信」より)。西風(にし)はあの世に逃げていった ぬれた岩に 海苔が陽を浴びている
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「山襞」 (詩集「幽界通信」より)。深い山襞に 春になっても とけぬ雪がある
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「双子山」 (詩集「幽界通信」より)。霧雨が 山肌をかすめて すぎた
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「鴉」 「鵜」 「芽」 (詩集「幽界通信」より)。鴉 海は赤く濁り 波は牙をむいて岸を噛んだ
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「雨夜」 (詩集「幽界通信」より)。晝からの雨が物の影を重く沈ませ 雲間にうすら明りの洩れるような晩 彼はあらわれる
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「草」 (詩集「幽界通信」より)。墓にはめったに行かない 墓標を掩って茂った草をぬく時 苦しくなる
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「茨」 「幽界通信」 (詩集「幽界通信」より)。茨 私ははだしで草地に立った 垣のばらは月光を吸って妖しく濡れた 私は垣をのりこえた 蹠の血は砂地に花びらの烙印を押した 標識燈の光はかすれ 突堤の端に彼が立っていた 蒼白い..
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「改正道路」 (詩集「幽界通信」より)。星空にひしゃげた家 堀割はなまあたたかく人間の臭氣を漂わせ だだっ廣い改正道路どこまでつづく 掘りおこされたガス管水道管 投げ出された黒い肢体 當爲なき水の噴出 地をゆるがせてゆくトラック..