記事「思想哲学」 の 検索結果 160 件
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プラトン『ソクラテスの弁明』『クリトン』の書評2:ソクラテスはなぜ理不尽な死刑を受け容れたか?ソクラテスは自らをアレテーを備えた有徳者であると自負しており、告発されている『青年を腐敗させた罪・他の神霊(ダイモニア)を信仰して広めた罪』についても身に覚えのない冤罪であることを主張していた。だが、..
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プラトン『ソクラテスの弁明』『クリトン』の書評1:賢者の無知の暴露と青年を腐敗させた罪岩波文庫の『ソクラテスの弁明』と『クリトン』を久しぶりにざっと読んでみた。ソクラテス(B.C.469-B.C.399)という古代ギリシアの哲学者には自著がなく、ソクラテスの刑死の謎に迫るこれらの本も弟..
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M.マクルーハンのメディア論と人間の意識:マスメディアの時代が生んだネーションとパブリックメディア(media)とは、何らかの情報・知識を他者に伝達したり、モノや人がある地点を移動させたりする『媒体・媒介』のことである。現代でメディアというと、狭義のメディア定義となるマスメディア(テレビ・..
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岸田秀『性的唯幻論』から見る男女関係と性道徳の変化4:マテリアルな性的身体の幻想と外見の評価男性が幻想として抱え込みやすい“利己的・道具的な性愛”だけでは人間の男女関係や家族形成は成り立たないので、そこに倫理的あるいはロマンス的な『恋愛・愛情・信頼・家族愛』といったものが導入され、文明社会で..
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岸田秀『性的唯幻論』から見る男女関係と性道徳の変化3:聖女と娼婦・愛情と性欲の二元論岸田秀は人間の男性の性欲の道具的な特殊性に注目して、人間の男性だけが他の動物には見られない『女性の人格と性器の切り離し』を行うことで、買春や強姦をすることができるとしているが、これは部分性愛から性器性..
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岸田秀『性的唯幻論』から見る男女関係と性道徳の変化2:自己愛・部分性愛に囚われた人の性恋愛・結婚などで決まった相手(パートナー)がいる人の多くは、ちょっと魅力的だなとかいいなとか思う別の異性がいたとしても、『今まで築き上げてきた居心地の良い家庭・関係性・相手との相互の信頼』を壊してまで..
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岸田秀『性的唯幻論』から見る男女関係と性道徳の変化1:本能が壊れた動物としての人間岸田秀の精神分析は『本能が壊れた動物』としての人間を前提にした“性的唯幻論”を展開するが、これは人間の性的欲求が“子孫存続の生殖本能(妊娠出産の帰結)”ではなく“文化的・快楽的な幻想”に支えられている..
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岸田秀の『史的唯幻論』から見る“日本・中国・韓国の屈辱”と対米感情のねじれ:2途上国(弱小国)に対する侵略支配や植民地化を正当化する際に、キリスト教圏の西欧諸国は『野蛮・未開な部族を信仰・文明を通して啓蒙するため』という論理を押し通してきた。キリスト教の正しい信仰を広めるため、..
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岸田秀の『史的唯幻論』から見る“日本・中国・韓国の屈辱”と屈辱の雪ぎ方のもつれ:1結果論としての恩義(自分たちのおかげ)の押し付けをするというのは、1853年のペリー来航以降(日米戦争のアメリカの勝利と戦後)のアメリカの態度でもあり、日本人はこの一方的で傲慢な恩義の押し付けに憎悪・..
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『中庸』の儒教思想と子思や朱熹(朱子)の説いた君子の“道・誠・理”『中庸』は『論語』『孟子』『大学』と並ぶ、儒教の四書のうちの一つである。儒教の中核的教義や行動規範とも関連する『中庸』という書物を書き著したのは、始祖の孔子の孫に当たる子思(しし)という人物で、字(あ..
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佐々木俊尚『レイヤー化する世界』の書評4:境界線のない“場”と自己の多面性を映す“レイヤー”世界で生きるすべての人々を呑み込んでいってしまうと予測される“場”は、インターネット上のビジネスモデルとしての重要性がずっと指摘され続けている“プラットフォーム”と言い換えることもできるが、『誰もが必..
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佐々木俊尚『レイヤー化する世界』の書評3:“ウチの世界”と“ソトの世界”の境界が揺らぐシーパワーである日本は、海に囲まれた単一民族国家に近い特殊な国家(自然発生的な国家)であると見なされがちであるが、日本が『日本人という国民アイデンティティを持った国民』によって構成される近代国家になる..