記事「2008年」 の 検索結果 408 件
-
★余命宣告0・1秒で世界は脆くも崩れ落ちた すべてを呑み込んで時間は いつもと変わらぬ速度で流れていった それがあなたの「痛み」だった それはあなたの「痛み」だった けれども 真夜中に目が覚め..
-
★希望あの日、窓にぶつかって死んだ小鳥。 それが兆し。それとも合図でしたか? 絶対零度を解凍できる と 信じている マリアナ海溝から透明な気泡がひとつ 立ちのぼってくる バスは循環..
-
五月/小さな庭から小さな庭がある 陰鬱な五月は今にも雨を降らせそう 桜の色は褪せ 地上に落ちた花びらは行き場を失い 庭の隅で汚れて吹き溜まる それでも黒々と湿った土からは 新しい芽が空に向かって手を開こうと..
-
冬囲い/小さな庭から冬囲いが終わった 竹竿 縄 ムシロ つつじも 萩も あじさいも 守られていて 窮屈そう 野山の木々たちは 春までに たくさんの枝を失うだろうが より幸せなのはどちら? 潔い ..
-
★名前を呼ぶもはや 後ろめたい気持ちなしに 名前を呼ぶことは 許されていない (今年の春は去年よりも早い) けれども私は十歩 歩くごとに その樹の名前を呼ぶ アメリカハナノキ 空が青さを取..
-
★バスが通り過ぎたいま 窓の向こう バスが通り過ぎた 家の近くの停留所 僕の乗ったことのないバス バスは走っていく 静かな夜の街路に 大きなエンジン音を響かせて 十字路を真っすぐに横切り マンションの四角..
-
声 【創書日和10月 「声」】少し甲高い おさないその声を 目を細めて 懐かしむ人がいて はじめて 失われることに気づく 風はとどめてはおけないから 目を細めて 懐かしむ人に 自分を重ね 手を重ね それでも 吹..
-
世界たいていの場合 視界不良 でも あなたの運がよければ ごくたまに濃い霧が晴れて 一瞬クリアになることがある 遠くの山々の稜線を構成する 木々の一本一本がはっきりと確認できたり (その枝振りまでも..
-
剪定/小さな庭から散髪したり 爪を切ったりするように じいちゃんが梨の枝を切る まだ、ひらがなしか話せないまごは きっちゃだめ と怒る きを だいじにしなくちゃだめなんだよ ちきうおんだんかだからね..
-
★夜の音カチリと電気を消す音 布団を直す音 眠れないと 体をもぞもぞさせていた子どもも やがては静かになって 規則正しい呼吸の音がひとつ それが夜の音 冷蔵庫は低くうなる 時計の音は少し間..
-
虫の惑星/小さな庭から結局のところ 私たちは思い上がっていたわけだ 屈んで土を眺める 名前があるのだろうが知らない (互いに知る必要も もはやないだろう) 小さな昆虫がわさわさと 慌てふためき歩き回っている ..
-
リラ/小さな庭から根は分解されて土に還っていた 枝の先にわずかに最期の吐息が残っていた 去年咲かせた花の種を形見に取っておくんだった オー マイ リッラ 後悔はいつだって遅刻する ぽっかりと丸い穴が空席..