記事「2008年」 の 検索結果 408 件
-
花殻を摘む/小さな庭から花殻を摘む いつでも きれいな花を咲かせるように 実を結ばないように 子房から丸ごと爪をたてて摘む (それは子宮ではない 乳房でもない) 爪の中が草色で染まる 草色のほかにもなにか 別..
-
秋/小さな庭から花を育てるということは 花を看取るということだ 私が植えたペチュニアも オレンジ色のナスタチウムも 花びらが散っていくさま 葉が黄色く萎れ 枯れていくさまを 生者必滅の心持ちで眺めて ..
-
金魚 【創書日和9月 「夜」】まぶたが無いので 眠っているのかどうかわからない 閉じたカーテン 夜のやみのなか ポンプの音だけが部屋に低く響いている 水槽の底には赤い金魚が三匹 (いや 実際は一匹は赤..
-
金魚どうして夏は暑いのだろう 南半球の八月を思い 冷たく白い夏を想像してみるけれど ひんやりともしない フローリングに横たわっていると 少しは涼しいから 寝転がって 窓越しに雲が 左へ左へ..
-
★ある対話キミはようやくキミのブラウスの 心臓に近いあたりがぼんやりと (灰色に) 汚染されていることに気づいたから ボクが 失われた文字になりたい というと ボクの眼を見つめ悲しげに微笑んだ ..
-
爪 【創書日和8月 「爪」】夜に爪を切ります 迷信は知っています そのとき をあれこれと想像してみます みっともないほど泣きわめくかも と思います ハンカチが二枚は必要でしょう それとも三枚かな? 鼻紙も忘れずに用意し..
-
★拾った子犬子犬はふくふくと温かかった 抱くのに心地よい重さだった ゆっくりと地べたに子犬を置いて あたしは 5階まで全速力で階段を駆け上がった 息を弾ませながら窓の下をのぞくと 子犬はきょとんと座っ..
-
工場跡地工場跡地 夏はカモガヤ、冬には雪ばかり 街並みで切り取られもせず 電線で落書きもされず そこだけ空はクリア 雲が動いている 工場跡地 むかしむかしの陽炎 灰色のコンクリートと石油の..
-
★ある朝のことそれは静かな朝だった。 一羽の鳥が、 窓硝子に映ったまぼろしの樹に留まろうとして 衝突したのだった。 コンクリートの上、羽をたたみ しりもちをつく形でじっとしていたが、 やがて正気に返ると..
-
★まなざし穏やかな日差しにふるえ、おずおずと 握りしめた手を開く 春に、若葉は萌え出でた 鳥が来て巣をつくり やがて卵が孵った (それをみつめている まなざしがあった) 夏に..
-
★名前を覚える鳥の名前を覚えることから 始めようと思うの と、その人は言った たとえば、つばさを一瞬たたんで飛ぶ あの鳥の名前を覚えたら あの鳥はもう 見知らぬ鳥ではないでしょう? さらりと雪..
-
臨月 【創書日和2月 「月」】千両梨の 胸のつかえはすこし緩んで いよいよ白線の前に立ちました ようい、どんのピストルの音で きっとぱあんと弾けるふうせん いつかは開けなければいけないドアの前で ..