記事「日経新聞」 の 検索結果 2597 件
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『江戸を隠してふところに』(87~92)それにしても、自分の命の危機すら隠し通さねばならぬなど、兵十郎には想像もつかない。上に立つお人とは大変なものだと思いながら、長坂とともに残物所に戻れば、小山内と濱が必死の形相で算盤を弾いてい..
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『江戸を隠してふところに』(81~86)脇差を手に座敷に飛び込んだ侍の身体が、何かに突き飛ばされたかのように廊下に転がる」 「一度ならず二度まで、わが主を狙うのは。この慮外者がッ」 曲者を膝で押さえつけると、「捕らえましてご..
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『江戸を隠してふところに』(75~80)「よし、では御用部屋に戻るとするか。京都の出方を待つしかないとはいえ、いつでも動ける支度はしておかねばな」 「これからでございまか」 思わず声を上げた兵十郎を、勝は蔑む気配もなく、うむと..
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『江戸を隠してふところに』(69~74)絖を帯びた黒羽織に半袴。豊かな髪を総髪に結った四十男が、「おお。ここか、ここか。やっと見つかった」と妙に赤い唇をほころばせて立っていた。 「いやはや、一度、様子を見に来ねばと思うたのに、上..
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『江戸を隠してふところに』(63~68)上さまが朝敵の汚名を受けて寛永寺に蟄居なさり、幕府がただの徳川家に解体され――そしている江戸に討伐軍が押し寄せるか分からぬ今、どこの誰が御家人になりたいなぞと願うものか。 「やはり難しかろ..
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『江戸を隠してふところに』(57~62)江戸を離れる民は、この先ますます増えるだろう。町の賑わいと、ご公儀の威信。その二つが兼ね備わってこそ江戸の殷賑は、もはや遠いものになってしまったようだ。――ああ、それにしても。 (母上や貴..
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『江戸を隠してふところに』(51~56)二章 流鶯 地鳴りにも似たどよめきが、西の丸御殿から響いてくる。大硯に墨を磨っていた鳴上兵十郎は、ついそわそわと板戸の向こうに目をやる。 板間の奥に小机で書き物をしていた長坂庄八郎は、そん..
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『江戸を隠してふところに』(47~50)「そりゃあ、確かにご城内の執務はただいま、大久保さまや勝さまが執っておられますよ。ですがとはいえそれでもご老中のお名前をお借りした方が、どこに参っても話が早いのですから」 「大久保さまのお許..
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『江戸を隠してふところに』(41~46)「おぬし、筆は立つか。算術は」 噛みつくような口調を浴びせつけられ、兵十郎は答えに詰まった。 「算盤はどうだ。古今の旧事には詳しいか。諸国の地理には明るいか」 「その……大変申し訳あり..
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『江戸を隠してふところに』(35~40)触れが出された当日、目に痛いほどの晴天が広がった空は、翌日から重苦しい雲に覆われ、翌々日には細かな雨が降り出した。肌寒い風がそこここを吹き過ぎる中、勘定役人の山内が湯呑所脇の廊下をよろよろと..
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『江戸を隠してふところに』(29~34)「そりゃあ、確かにうちの身代と直に引き比べれば、三百七両二歩一朱の鳴上家さまの借財は微々たるものです。ですが各お宅のその借財が積もり積もればこそ、最上屋の家業がございますのでねえ」 「いま、..
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『江戸を隠してふところに』(23~28)「昨日遅く、義理の父がはるばる千住から出てきてな。江戸が戦場になるのであれば、妻をこちらに引き取って参ろうと言い出した。千住にはろくな医者がいる道理もないし、さりとてこのまま江戸に留まっていい..
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