記事「日経新聞」 の 検索結果 2587 件
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『江戸を隠してふところに』(29~34)「そりゃあ、確かにうちの身代と直に引き比べれば、三百七両二歩一朱の鳴上家さまの借財は微々たるものです。ですが各お宅のその借財が積もり積もればこそ、最上屋の家業がございますのでねえ」 「いま、..
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『江戸を隠してふところに』(23~28)「昨日遅く、義理の父がはるばる千住から出てきてな。江戸が戦場になるのであれば、妻をこちらに引き取って参ろうと言い出した。千住にはろくな医者がいる道理もないし、さりとてこのまま江戸に留まっていい..
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『江戸を隠してふところに』(17~22)「落ち着いてください、戸田さま。城内ではいま、上さまは迷うていらっしゃるとのもっぱらの噂でございます。戦を叫ぶもの、和平をと唱えるお人、どちらもそれがしはお見かけしましたが、上さまはいまだ、な..
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『江戸を隠してふところに』(11~16)立ち上がった濱が、どすどすと廊下を踏み鳴らして歩み去る。小山内と呼ばれた若侍がその後に従うのを見送っていた兵十郎の脇を、坂部が「要らん口をききよって」と舌打ちと共に小突いた。 「確かにわれ..
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『江戸を隠してふところに』(6~10)それというのも五日前の正月十二日の朝、長らく京都にいるはずの将軍――いや、昨年十月に帝に政を返上し、名目上は一大名となった前将軍・徳川慶喜が、いきなり江戸城に戻ってきた。 突然の帰城に城..
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『江戸を隠してふところに』(1~5)一章 春は名のみの 東照宮家康さまご入府以来の譜代御家人たる鳴上家には、代々、当主にしか伝えられぬ秘伝の技があった。 二百数十年に及ぶ太平の御代の中でお役目は二転三転し、八代将軍・吉宗さま..
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『タイム・アフター・タイム』(313~318)「行ってないなー、沖縄。別に意識してたわけじゃないと思うんだけど」 「俺は正直言うと、ちょっと意識してたかも。何度かあったんだよね。旅行先が沖縄になりそうな時。でも、なんか理由をつけて、別の..
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『タイム・アフター・タイム』(360~362)エピローグ 回していた扇風機を消すと、もう汗が噴き出した。 いよいよ本格的な夏である。 ジャケットとバッグを腕にかけて、もう片方にゴミ袋を提げてエレベーターに乗り込んだところで携帯が鳴..
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『タイム・アフター・タイム』(357~359)尾崎は久遠のTシャツに触れた。脱がそうと引っ張ると、 「……もう何もつけてない」 と、久遠が少し身を捩る。 「……あ。ごめん。うん」 「だから、恥ずかしいから……、オッソーが先に脱..
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『タイム・アフター・タイム』(350~356)「ねえ、オッソー」 「ん?」 「私たち、自由になれたのかな?」 「さあ、どうだろうな……。……俺、あの時、久遠を送って一人で島へ戻るフェリーで泣いたんだよ。声上げて。……たぶん、そうとう..
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日経新聞で4月10日から『江戸を隠してふところに』が連載開始日経新聞で4月10日からは『江戸を隠してふところに』がスタートします。新しい連載小説江戸を隠してふところに 澤田 瞳子 村田 涼平 画 本紙朝刊連載小説、吉田修一氏の「タイム・アフター・タイム」..
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『タイム・アフター・タイム』(344~349)「年賀状? 私の? ……もしかして全部ですか?」 「そう、全部。読んでみろよ」 久遠は一枚目を裏返した。 『あけましておめでとうございます。 秋の高校卒業認定試験に受かりました。一..
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