記事「日経新聞」 の 検索結果 2587 件
-
『愉楽にて』(189~191)久坂にファリンを紹介してからというもの、田口はずっと落ち着かない日々を過ごしている。 久坂がシンガポールや東京で、何人かの女性と関係を持っているのは知っている。しかし彼は、そのことを吹聴した..
-
『愉楽にて』(186~188)次の日早く、久坂は会長である社長に電話をかけた。 「こちらで何人もの中国人とつき合ってきました。彼らのやり方がかなりわかったつもりです」 それはそうだろうと父親は言い、北京での認可取得がい..
-
『愉楽にて』(183~186)有香を玄関まで送った。 もし今日自分と寝ていたら、尻をたっぷり誉めてやったのにと、久坂は残念で仕方がない。有香は少し自尊心が強過ぎる。そのための楽しい午後のひとときを失ったのだ。 久坂は..
-
『愉楽にて』(180~182)今回シンガポールにやってきたのは、仲のいい医者夫婦四組で、ゴルフと観光を楽しむためだという。 自分と同い年だから、五十四歳になるが、そう悪くないと久坂は思った。 「僕の家に来ないか。食後酒..
-
『愉楽にて』(177~178)第七章 魔都へ 久坂がよく午後のひとときを過ごすこの社交クラブは、何度か改築されているものの、千九百年代のコロニアル調の雰囲気を漂わせている。入会資格の難しさでも知られ、二人の推薦人の他に、世..
-
『愉楽にて』(175&176)「疲労でこんな妄想にとりつかれるんですよ」 「妄想ですかね」 「そう、妄想です。塩田さんを見たでしょう。よその奥さんを騙して大金をこっそり貰うような人ではありません」 「あの男のことは、もう..
-
『愉楽にて』(172~174)低いステージでは、背の低い五十がらみの男がスピーチしているところであった。 「ですから、塩田さんのように外交がわかている人を、国政に送り出さなきゃダメなんですよ。彼はですね、将来次官を約束され..
-
『愉楽にて』(169~171)「それで、田口さんが今、考えていらっしゃることは何なんでしょうか。二千万円取り戻すことですか。田口さんがどうしても二千万を取り戻したいとおっしゃるならば、私は力を尽くします。それが、あの夜あの場に..
-
『愉楽にて』(166~168)「その時の写真、見せていただけませんか」 「写真はありません。私、若い方のようにスマホで撮ったりしませんから」 それは嘘だろう。 「塩田貴俊」 美和子が目の前にいたにもかかわらず、田口..
-
『愉楽にて』(163~165)「とてもプライベートなことでしたのに、私、楽しいのとお酒に酔ったのとで、ついペラペラと喋ってしまいました。どうぞお許しください」 「そのプライベートなことって、何ですか」 「彼、選挙資金を田口..
-
『愉楽にて』(160~162)「僕はワインにかけては全くの素人ですが、詳しい友人から言われたんですよ。そもそもワインっていうのは、グラスの中でゆっくりと空気に触れて変化していくもんだろうって。そう計算されてつくっているんだから..
-
『愉楽にて』(157~159)真佐子の入院が一段落した後、報告とお礼をかねて佐々木美和子に電話した。 「何もいたしませんでしたのに。どうぞお気遣いなく」 「いえいえ、歌舞伎もひと幕だけになり、本当に申しわけないことをいた..