記事「日経新聞」 の 検索結果 2587 件
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『迷いの旅籠』(183~185)「お天道様はこれからてっぺんへ昇っていこうという時分で、ですから桜の古木には影ができています。手前の足元にも、手前の影があるはずでございますが」 だが、それがない。足元は、ただ一面に真っ暗だっ..
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『迷いの旅籠』(180~182)「そうこうしているうちに、お辰と女中の具合もおかしくなってきたんでございます」 手足がひどく冷えて、一日中、身体の節々がどこかしら痛む。 「だるま屋さんご自身はいかがでした?」 「手前は丈..
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『迷いの旅籠』(177~179)「有り難いことに、だるま屋は船出から順調でした。お得意様が増えて、すぐに小僧や女中を雇い足すようになりました。 ここで万事めでたし、めでたしだったならば、本日ここで手前がこうしてお嬢さんの前に..
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皇帝ダリア、日経新聞の春秋、というコラムに書いてありました。 皇帝ダリアのこと → 日経新聞 季節の花苗皇帝ダリア■新鮮花壇苗■皇帝ダリア10.5cmポット価格:518円(税込、送料別) 記..
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『迷いの旅籠』(174~176)「じゃあ、櫃まぶしを?」 「へえ。そろそろ暑くなるころで、鰻も太ってきてましたんで」 これが当たって、房五郎は大いに男を上げた。 いよいよ弁当屋の看板も揚げよう。そう言い出したのもお辰が..
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『迷いの旅籠』(171~173)「ここはてっきり煮売屋だとばかり思っていたが、こんな小洒落たお菜も扱うのかね」 「へえ、まあ、ちっとばかり」 「そうすると、仕出しを頼めるんだろうかねえ」 「はい、承ります」 「今月の十五..
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『迷いの旅籠』(168~170)大食いを続けても房五郎は太らず、むくむこともない。まったく変わらない。無論、食ったものでひだる神を養っているからである。 お辰を脅かさないよう、姿を見せないという約束はきちんと守られていた。..
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『迷いの旅籠』(165~167)一夜が明け、手荷物をまとめて元濱町の裏店へ引き揚げようとしているところへ、弁当の品書きを書いてくれた代書屋がやってきた。 「これも要るだろうから、餞別に」 またも果たし状みたいな「名物 櫃..
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『迷いの旅籠』(162~164)それから二日後、房五郎は、義兄が「これならほとんど年中作れるし、これが旨い弁当屋はおつだよ」と言う青菜飯を炊いているとき、お辰が両親を連れて帰ってきた。 「挨拶は後回しにしてくれ。俺は今、これ..
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『迷いの旅籠』(159~161)「江戸の町にたくさんある木戸番じゃ、こういう手軽な食いものを売ってるんだよ」 房五郎はぴしゃりと額を打った。 「俺ってえのは、どうしてこう莫迦なんだ。こんな自慢話をしたら、またおめえが食いた..
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『迷いの旅籠』(156~158)ひとつ食い終わり、指にくっついた飯粒を丁寧に舐めとる。 「おまえさんは佃煮が好きかい? 俺は大好きさ。小魚の煮たのがいいね」 ふたつ食い終わり、また指を舐める。 三つめの握り飯に取りか..
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『迷いの旅籠』(153~155)「小豆洗いってあやかしは、水辺に出るもんだろ? ああ、あの地蔵堂のそばには湧き水があったか。しかし、あいつがといでる小豆は自前だよなあ――なんて」 益体もないが楽しいことを考えながら、歩く房五..