記事「中篇」 の 検索結果 51 件
-
横書きでは書けぬよく、『ルーン使いの言の葉』でお話を書き下ろししているわけなんですけども。 小説を書くことはなかなか、できない音色ちゃんなのです← いや、書きたいのは山々なんですけども。 縦書きで許されたこ..
-
2冊目…戦慄!ノーベル賞作家の書く「怖い話」!!『十二の遍歴の物語』『十二の遍歴の物語』G.ガルシア・マルケス著 新潮社 『予告された殺人の記録・十二の遍歴の物語』G.ガルシア・マルケス著 野谷 文昭, 旦 敬介訳 新潮社 小品にしか表れ出ない作家の力..
-
『ソーネチカ』 リュドミラ・ウリツカヤ美人でもなく平凡な女のソーネチカ(趣味は読書)の一生 ソーネチカ (新潮クレスト・ブックス)沼野 恭子 新潮社 2002-12売り上げランキング : 24532おすすめ平均 Amazonで詳..
-
異形(一)時計の針が、午後八時を刻んだ。重々しい鐘の音が、薄明かりの食堂に鳴り響く。細長いテーブルには、三本立ての燭台が二つ置かれ、炎がナイフの刃先を舐めるように照らし出している。 八つ目の鐘が鳴り終えた..
-
異形(二)食堂を出た後、僕は図書室へ向かった。図書室には大きなフランス窓があり、そこからベランダへ出られるようになっている。僕は夜風に吹かれながら、闇に沈む周囲の山々を眺めた。この屋敷は高冷地にあるため、七月..
-
異形(三)次の朝、僕は五時半に目を覚ました。身支度を整えてから、新館を通って玄関を出る。新館には広い前庭があり、朝早くここを散歩するのが僕の日課になっているのだ。 庭には朝靄が立ち込めている。僕は湿った空..
-
異形(四)尾崎先生がこの家を訪れてから、三日が過ぎた。 御父様は旧館の書斎に篭り、食事の時間以外は姿を見せない。未だに指示が与えられないので、先生は暇を持て余しているようだ。屋敷の方々でいろんな人間を捉ま..
-
異形(五)翌朝もいつも通りに、前庭へ散歩に出た。靄もなく、澄み渡った夏らしい天気で、木陰でゆっくり過ごすには、ぴったりの朝だ。僕は梔子の小道を抜けて、西の奥にある薔薇園へ向かった。 入り口にある、つる薔薇..
-
異形(六)翌日の午後、僕はバルコニーで本を読んでいた。穏やかな天気で、柔らかい風がとても心地いい。僕は安楽椅子にもたれながら、いつの間にか眠り込んでしまった。 「――ので、私は結局二十ドルも損してしまったん..
-
異形(七)尾崎先生がいなくなって、五日が過ぎた。 食卓には、当たり前のように三人分の食事が並べられる。確実に人が一人消えたのに、誰もそれを口にしない。御父様は相変わらず書斎に篭り、忙しく仕事をしている。御..
-
異形(八)「御父様、御静かに願います」 僕の言葉に、馬鹿笑いがぴたりと止まった。棚から割き竹を取り上げると、途端に御父様は震え上がる。 「勘弁してくれ! 違うんだ、私はただ……」 「少し無駄話が過ぎるよ..
-
異形(九)淡い蝋燭の灯りに照らされたテーブルには、晩餐の用意がすっかり整っている。食材、調理法、食器の選択、燭台の位置に至るまで、全てが僕の望む通り、一つも欠けていない。僕は深い満足を覚えながら、上座に腰を下..