記事「吾輩は猫である,パロディー,ネコ」 の 検索結果 9 件
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ぼくはネコなのだ(53)いい気味だと思った。兄貴といっても、三十分早く生まれただけだし、体重だって大して変わらなくなっていた。ふさふさした白い毛をしている分、兄貴の体が大きく見えただけなんだから。 その夜、兄貴はテレビ..
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ぼくはネコなのだ(52)いい加減、ぼくは腹が立った。兄貴を小学校に連れていったばかりに、しっぽを持って振り回されるし、こちらがどれだけ心配していたかも知らずに、えさに釣られてまたのこのこ出かけていこうというのだから。 「..
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ぼくはネコなのだ(51)ぼくは一匹でうちに逃げ帰った。しばらくしても、兄貴は戻ってこなかった。日が西に傾いて、えさの時間になっても……。 何か悪いことでも起きたのだろうか。草むらの途中まで行ったが、足がすくんでしまった..
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ぼくはネコなのだ(50)こんな大きな建物の中に入るのは初めてだった。天井の明かりがついていないから、一列に続く廊下は昼でも薄暗い。兄貴は長い階段を上っていく。後を追って上ると、廊下に沿って同じような部屋がいくつも並んでいた..
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ぼくはネコなのだ(49)酔いがさめた頃、兄貴がぼくに尋ねた、どうしておまえだけ、人間の言葉が分かるんだと。そんなこと言われても分からない。誰か教えてくれないかというので、人間には学校というものがあると答えておいた。 「ネ..
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ぼくはネコなのだ(48)長い冬が終わった。ずっとうちにこもってばかりいたから、久し振りに外の空気が吸いたくなった。隣のうちの桜が咲いたというので、庭でお花見をすることになった。椅子を出しておばあさんを座らせると、髪の短いお..
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ぼくはネコなのだ(47)それから、極ネコは次第に物を食べなくなった。外は霜柱も立つほどだから、小屋も玄関の中に移動していた。兄貴やぼくが近づいていっても、ぼんやり見ているだけで、心はどこかに飛んでいってしまったみたいだった..
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ぼくはネコなのだ(43)それから少し反省した。真夜中に大暴れしたのは、ずっとうちの中に閉じこもっていたからだ。寒くても天気のいい日は、外に出て走り回ろう。いくら親切なおじさんでも、図に乗って甘えたりしてはいけない。 そ..
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ぼくはネコなのだ(42)外は本当に寒い。兄貴とぼくはショックで震えた。もうこのうちにいられないかもしれない。とぼとぼと庭を横断して、隣のうちの前まで行った。空気は冷え切って、身も心も凍りついてしまいそうだった。兄貴に話しか..
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