記事「小説」 の 検索結果 36248 件
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しあわせエントロピー(16)第16章 問 5月初旬、ゴールデンウィークも過ぎた頃、釧路でも毎日の最低気温もプラスになる日が続くようになった。 釧路のまちを吹き抜ける風は依然として冷たいが、それでも厳冬期の様な刺々しさは影..
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しあわせエントロピー(15)第15章 協 3月も半ばとなり寒さも緩みかけた頃、地元民が彼岸あれと呼ぶ晩冬の猛吹雪が道東一帯を襲い、紗月が会社を早退した翌日の朝、いつもと同じように6時30分に目覚めた紗月は枕元に置いたラジオ..
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しあわせエントロピー(14)第14章 活 「おはようございます」 「おはよう、松田さん、今日も早いね」 よりにもよって刑務所で顔見知りだった三上君代が彼女、松田紗月が「田本なつき」という偽名で清掃員として働いていた..
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しあわせエントロピー(13)第13章 着 東京の羽田空港を定刻で離陸した釧路行きの飛行機は日本列島の太平洋岸に沿って順調に北上を続けた。 松田紗月はこの日、例の三上君代が流した噂に「汚染」された東京から一刻も早く離れ..
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しあわせエントロピー(12)第12章 轍 「ありがとうございました」 カウンターにいる高校生くらいの若い女の子が外に出ようとする紗月の背中に声をかけた。 年が改まって1月半ばとなり冬の東京は寒い日が続いていて、松田..
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しあわせエントロピー(11)第11章 愁 S社近くのアパートの家主から9月末日までに退居を求められて、期限を翌日に控えた今日、紗月はアパートを出た。 協力雇用主に登録していたS社を解雇された8月初めから精力的に職探..
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しあわせエントロピー(10)第10章 顧 「これ以上のぺパリン投与は危険です」 「は?」 紗月は何かの夢を見ていた。で、自分が何を口走ったのかも分からなかった。その時、偶然、彼女の枕元にいた中年の女性看護師は紗月の言..
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しあわせエントロピー(9)第9章 去 暦は8月も下旬になったある日のこと、区民センターの図書コーナーで読書した後、紗月はどうしても確かめたいことがあってインターネットカフェに向かった。 下獄以前の紗月は、インターネッ..
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しあわせエントロピー(8)第8章 憂 暦は8月中旬となり、日の光は強く暑さ弥増す日々が続いている。前夜も熱帯夜で朝のラジオでは今日も気温が高くなる見込みと言い、それを聞いた紗月はげんなりした。 彼女の借りたアパートの..
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しあわせエントロピー(7)第7章 救 暦は6月半ばとなり、梅雨の季節でしとしとと雨が降り続いていた。 彼女、松田紗月は4月上旬、千葉と東京の境界近くの東京側の某所にある従業員が30人ほどで電気工事や土木工事を手がけてい..
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しあわせエントロピー(6)第6章 探 2月末日で松田紗月はマンション近くのコンビニを解雇された。そして、それから暫くの間、彼女は、泣きながらベッドに横たわる日が続いた。 彼女は自分が何故泣いているのかが分からなかった。..
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しあわせエントロピー(5)第5章 就 「おはようって誰も居ないけどね」 あと数日で刑務所を釈放されてから間もなく1ヶ月になるという12月半ばのこと、紗月はこの日も借りたマンションで目を覚ました。 刑務所では毎朝6時..