記事「小説」 の 検索結果 36259 件
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第60話 夢の果てに-21ぼくは…、まったく恥ずかしい話だが、思わず恐怖の叫び声をあげて、その場から逃げ出した。ところが、ああ、なんということだ。ぼくの行く手を遮るかのように大地が口をぱっくりと開けている。飛び越そうとして飛..
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第60話 夢の果てに-20「最初は自戒していたけれど…。」 「結局、自分で決めた禁忌を犯してしまったわ。」 「最後はあんなにも羽目をはずしてしまって…。」 ぼくの行為のどこが禁忌を犯したというのだ? 「ぼくは女の人..
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第60話 夢の果てに-19とたんに周囲が暗闇に変わった。常夏のような陽気は消え失せ、冷たい空気が流れてきた。柔らかな草に覆われていた大地はごつごつとした岩肌をむき出しにした。あれほど満ちあふれていた愛らしい存在はどこかへ消え..
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第60話 夢の果てに-18どのくらい時間がたったことだろう。彼女は熟成を重ねて絶品の葡萄酒に仕上がった。ふっくらした丸い杯の中には香り高い葡萄酒が尽きることなくあふれてくる。ぼくはそれを心ゆくまで堪能した。 身体が熱..
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第60話 夢の果てに-17「いやー、ごりっぱなご子息じゃ。」 「親離れもみごとな手際で。」 「何から何まで父親そっくり。」 「どこが! あんなに小さいくせに色恋のことしか頭になく、小生意気でへ理屈ばかりこねて、おまけに平..
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第60話 夢の果てに-16しかし、あのアフロディーテが涙に暮れている所を想像すると、どうにも心が落ち着かない。そんなぼくの心を見透かすようにエロスはぼくの耳元までやって来てささやいた。 「ねえ、あんたの愛するアフロディーテ..
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第60話 夢の果てに-15「今度のお相手はその娘かい。パパったら移り気なんだから。これじゃ女を幸せになんかできないよね。まったく。」 エロスは、やはりぼくの息子なのだろうか。ぼくが心の底に秘めていた思いをこうまで適確に言い..
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第60話 夢の果てに-14「まあまあ、パパ。それは一応通説だけど、定説というわけではないんだぜ。おれがいつ誰から生まれたかについては、実にいろんなことが言われてるんだ。詩人ヘシオドスは、カオスから大地ガイアと共におれが生まれた..
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第60話 夢の果てに-13「パパだって?」 ぼくはこれほど驚いたことはなかった。しかも、何ということだ。この闖入者に、ディオニソスたちまでもがすっかり面白がって、はやし立てている。 「ほお、隠し子までいたとは。」 「な..
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第60話 夢の果てに-12「実家ときっぱりと縁を切った? そんなのは口先だけのことだな。本当にそれができりゃあ、オーギュストがおまえの身内だという事実とも縁を切れるだろうに。赤の他人の妻なら何の問題もないぞ。そらそら、どうだい..
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第60話 夢の果てに-11「どんな題材の議論でもどうぞ。」 「そうか。では、おまえが嫌がる質問をしてやる。」 ディオニソスはひどく挑発的な物言いをしてきた。 「おまえはそもそも何だって、女嫌いを装っているんだ。」 「..
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第60話 夢の果てに-10「わははは。あんな堅苦しい女神といっしょにいても、いいことなどないぞ。おまえは酒屋の息子だ。まずは自分の商売道具をちゃんと知らにゃいかん。」 そこは葡萄の木が生い茂る森の中だった。ぼくをアテネの所..