記事「猿飛佐助」 の 検索結果 103 件
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第四章-12-気前よく使われてへとへとになりながらも、少ないなりに給金ももらって、数日間は船で寝泊りもした。 苦労を厭わずに働くので、水兵からも可愛がられる。が、男たちの下品なからかいには本気で困った。 ..
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第四章-11-はじめて見る何艘もの軍艦に、幸村は圧倒された。 「すごい……」 幸村の周囲にも軍艦見物の人が集まり始めた。 ざわざわとざわめきが広がる。羽柴秀吉のお膝元でも、これだけの軍艦を見る事は珍しい..
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第四章-10-幸村たち一行は京へは行かず、大和との国境を山伝いに迂回して、堺の町へやってきた。 途中、雪に遭ったり道なき道を取ったりしたので、結構な時間がかかってしまった。ほぼ野宿という行程は、真冬の寒さで余..
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第四章-9-琵琶湖の南端、瀬田で待つこと一日。三次兄弟が追いついてきた。 世間は正月である。 それを祝うことも出来ない四人は、村はずれで無人の小屋を見つけ、ささやかに年明けを迎えた。 「これからどうす..
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第四章-8-いくら報酬が良くても、自分の命を賭ける気まではしない。 上杉家には軒猿という優秀な忍軍団がいる。お抱えの忍衆は、他の忍者たちと連絡は取らず、独特の連携をしている。 だから二つ名を持つような有..
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第四章-7-どんな仕事も厭わずに「はい」と素直に返事をして、頼まれた以上の成果を出す幸村は、宿屋の皆に可愛がられていた。 「幸村、ちょっと休みな。茶を入れてやろう」 「ほら、これで饅頭でも買っといで」 ..
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第四章-6-琵琶湖畔に着いた幸村たちは、長浜に逗留した。 信濃の山育ちの幸村にとって、長浜の町は信じられないくらい大きな町だった。 それでも京の都はこんな比ではないと言う。 「さっさと京に行こうや」 ..
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第四章-5-宿を出発した後、少年二人のとった道はさらに西を向く旅だった。 「おい、どこへ行くつもりなんだ?」 別にどこに行くのでもいいが、行く宛てくらいは知っておきたかった。 清海の問いに、幸村は振り..
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第四章-3-峠を降りる幸村たちの後を、大小二人の男がついていく。 幸村は途中ですれ違う数少ない旅人に、にこにこと無邪気な挨拶をする。 特に急がない相手は立ち止まり、子ども相手に、峠を歩いてきたのは偉いと..
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第四章-2-僧侶姿の二人の男は、目の前で槍を構える少年と、周りを威嚇してくる猿や狼に囲まれ、本能的な恐怖に体を強張らせていた。 「な、なんだ……」 「これ……どうやって……」 二人はきょろきょろと見回し..
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第四章-1-飛騨から美濃へ抜ける峠道に、二人の男の姿があった。 痩せた背の高い男と小太りの背の低い男の組み合わせは、町で見かければ面白可笑しい比較だったが、こんな山奥の曲がりくねった道の、さらにそれを見下ろ..
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第三章-14-影斎を先頭に、小介、六郎、宗太郎、源次郎、佐助、十蔵の順番で、列になって山道を越えていた。 辺りはすっかり夜の闇に覆われ、足元も覚束無い。 小介が何度か木の根に足を取られたり、そもそも子ども..