記事「短い話」 の 検索結果 15 件
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短い話 ② 鏡鏡 家にいる、と決めた日はお化粧をしなくなった。 庭の花を見たり手入れするのは夕方、日が沈む少し前。日焼けを気にして。 そうして、そうやって過ごした日の夜は肌の調子がいい。 お化粧って..
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短い話 ①ギター 土手沿いの道を車で走る 信号待ちの列にゆるゆると近づきながら外を見る ギターを持った少年の三人組 ひとりが弾いて ひとりが膝を叩いて ひとりがうたっている感じ 微妙に離れた距..
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いつかのエイプリルフールこういうイベントは大切にしたいのだけれど、とくに何も思いつかなかった。愉快なうそがいいな。俺は二枚目だとか、天才だとかね。罪のないホラがいい。 昨日昼寝していたら、知り合いの婆ちゃんがうん..
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与ひょうの恩返しつうの織る布は鶴の千羽織というものだ、与ひょうは惣どからそう聞いた。なんでも生きとる鶴の羽を千枚抜いて織った織物だと。 与ひょうは何百羽という鶴をつかまえてくる。 つう、おまえにばかり申し訳..
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ライオンのいる浴室弟が言うには、飼育係が帰ってしまったためだったか、ライオンをここに置いておくしかないのだそうである。刺激しなければ人は襲わないからと弟は、ぼくと背中合わせのままで友達に電話をかけ始めた。最近買ったと..
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月夜のおうだんほどうおぼろ月夜です。ぼくの家の屋根の上で、横断歩道が月を見ながら団子を食べていました。きっと何かよっぽどのことがあったに違いありません。軽トラックの陰で観察していると、何を思ったのか、横断歩道はすっくと..
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浦島次郎兄が帰らないので次郎は亀を助けて龍宮へ。 「兄さん! いったい今なん時だと思ってるんですか」 次郎は土産にたまごをもらう。「そのなかにはおまえの未来が入っている。けっして割ったりせぬように」乙姫が..
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アリマキぼくが窓からつきとばした。アリマキはいつものロクロ首のまねで、最後までぼくたちをからかった。降りてそこまで行ってみると、彼の体はすっかり袋状に変化していた。首のあったところが袋の口で、その穴の中には..
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鯨にのまれたときの処方箋1。ピアノを探す。 2。ピアノを弾く。 3。クジラ、拍手代わりに噴水してよろこぶ。 4。噴水とピアノとあなたがクジラの外に飛び出す。 5。次の人とクジラのため、クジラにピアノを返す。..
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天ぷら昼ご飯を食べに行くと、教授とばったり出くわした。何の因果だろう、生物学の実習で天ぷらを作ることになったのだ。深海魚3点セットは高くて手が出ない、アカエイを持ち上げて諦め、ヒラメで我慢する。イタリア人の..
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現在から来た男「ワープとは違うのでしょうか」おれはその男にたずねた。 「タイムマシンとは何か。簡単だ。過去へ行けば過去の自分に会える。そこで過去の自分を殺せばタイムパラドクスが起こる。未来へ行けば未来の自分に会え..
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キスより・簡単「ふたり仲良く心中か」この道20年のヤマさんがつぶやく。 捜査の結果、2冊の日記帳が発見された。 男の日記「○月×日 キスしてくれたら死んでもいい」 女の日記「○月×日 キスしたら死んでやる..
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