記事「筧十蔵」 の 検索結果 20 件
-
第一章-14-織田信長軍はじわりじわりと勢力を広げていた。 今はまだ東への侵略はないし、一応の恭順は示しているので、上田城に攻め入られることはないが、遠征に出て行かなければならないことは増えていた。 上田..
-
第一章-13-「農地と山間地の気温差があって雪融けが遅いと、急に暖かくなったときに鉄砲水がでる危険が高いそうです。五十年ほど前、川の堤が決壊し、一つの村の半分ほどが沈んだことがあったそうです」 農夫から聞いた話..
-
第一章-12-厳寒の冬は長く続き、ようやく雪が融け始めた。その頃から上田の周りでもめまぐるしく情勢が動き始めていた。 ようやく外で遊べるとばかりに源次郎たちが出かけようとするが、昌幸はやんわりとそれを止めた。..
-
第一章-11-源次郎は六歳になった。 その年は雪が深く、民の暮らしはなかなか困難なものになっていた。 城の中でも寒さは厳しくて、源次郎は鼻の頭を赤くし、手をこすり合わせながら勉学に取り組んでいた。 勉..
-
第一章-10-ずどんという重い音と火薬の臭いを残して、筧十蔵の撃った鉄砲は、真っ直ぐに的の中心を撃ち抜いた。 十蔵の斜め後ろからその様子を見ていた源次郎は目を見開いて、はっと気付いたように両手をぱちぱちと打ち..
-
第一章-8-源次郎は六郎と小介を連れて、よく城下へ出かける。今は危険な情勢ではないが、それでも城主の息子がふらふらと出ていて、笑って済ませることなど出来ない。 今までは護衛が二人ほどついていたようだが、十蔵..
-
第一章-7-筧茂治は正直なところ、五歳の子どもに兵法を教えてやってくれと頼まれたときは、智将と謳われた真田昌幸も所詮は親馬鹿だったのかと、呆れが半分あったことは否めなかった。 はじめて会った息子は、確かに利..
-
第一章-6-一人で出かけた昌幸は一組の親子と一緒に戻ってきた。 「これが息子の源次郎だ」 二人に紹介された源次郎は、作法通りの挨拶をした。 「真田昌幸が一子、真田源次郎信繁にございます。以後、よろしくお..
- 前へ
- 次へ