記事「編集手帳」 の 検索結果 40 件
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20090326/読売新聞 編集手帳編集手帳 江戸川柳に、〈うなるのは嘘(うそ)だが金は物を言い〉とある。「金がうなるほどある」というのは誇張だが、「金が物を言う」(=力を発揮する)のは本当だね、と。物を言うだけあって、金にも声..
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20090325/読売新聞 編集手帳通勤の道すがら、中学生の男の子がいる家の前を通る。ここ数日、ガラス戸に立てかけて野球のグラブが置いてある。中にボールを収め、指の部分をゴムひもで結んでいる◆遠い少年の昔、母親の靴下留めを借り、おろし..
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20090324/読売新聞 編集手帳〈風はさまざまな人間の声色を真似(まね)できる〉と、スチーブン・キングの恐怖小説「シャイニング」(深町真理子訳、文春文庫)の一節にある◆町なかに暮らしていると、いつもは騒音に掻(か)き消されて風の音..
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20090323/読売新聞 編集手帳日本にもファンが多い中国の文人、林語堂と魯迅は大正の末期、吠(ほ)えて人を咬(か)む犬が水に落ちたらどうすべきか、論争をしたことがある◆「欧米のフェアプレイ精神を見習い、悪い犬でも助けるべし」と説く..
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20090322/読売新聞 編集手帳東京は日本橋、日本銀行本店の旧館は1896年(明治29年)のきょう、落成披露された。東京駅と同じ、辰野金吾の設計である。江戸時代に金座があった場所を、三井組から買って建設した◆昭和20年代に経済ジャ..
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20090321/読売新聞 編集手帳貴重な小判をもらったところで価値の分からぬ身では無意味だろうよ、と馬鹿(ばか)にされたり、くるくる変わる目玉を変節漢の形容に用いられたり、慣用句やことわざの世界で猫は気の毒である。〈猫の魚辞退(うお..
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20090319/読売新聞 編集手帳早世の惜しまれる詩人や歌人がいる。相良(さがら)宏もそのひとりである。〈わが坐(すわ)るベッドを撫(な)づる長き指告げ給(たも)ふ勿(なか)れ過ぎにしことは〉◆結核を病み、1955年(昭和30年)に..
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20090320/読売新聞 編集手帳江戸の昔には〈見合わせ桜〉という言葉があったという。鶴ヶ谷真一さんの随筆集「月光に書を読む」(平凡社)を読んでいて教えられた◆遠方の桜の開花を知るために、江戸人はそれと開花期を同じくする近くの桜を見..
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20090318/読売新聞 編集手帳詩人、土井晩翠の飼い犬がどこからか蝦蟇口(がまぐち)を拾ってきた。銀貨が2枚入っていた。晩翠は警察署に届けた◆署員はどういう茶目(ちゃめ)っ気でか、「犬が自分で警察署を訪れ、くわえた蝦蟇口を署員に渡..
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20090317/読売新聞 編集手帳〈僕の家は貧乏で、山元村の中でもいちばんぐらい貧乏です〉。作文を書いたのは中学2年生、江口江一さんである。父はとうに亡く、今また大黒柱の母を亡くした。弟と妹は親類にもらわれていき、自分は祖母と家に残..
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20090316/読売新聞 編集手帳作家をホテルなどに閉じ込めて執筆に専念させることを「カンヅメ」にするという。1947年に編集者だった宇野千代が小林秀雄を神奈川県奥湯河原温泉の加満田旅館に逗留(とうりゅう)させたのが始まりだそうだ◆..
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20090305/読売新聞 編集手帳英国の化学者ファラデーは「ロウソクの科学」に書いている。〈ダイヤモンドの夜の光輝は、それを照らす炎のおかげでしかありません〉。野球場の各塁を結ぶ四角形もダイヤモンドと呼ばれる◆光り輝かせるのはもちろ..