記事「虚」 の 検索結果 46 件
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少年詩篇 11最期の季節に 5 まぶしすぎる五月 黒い木々が街を揺らした 遠ざかるおまえの影がゆっくりと傾斜した 子どもたちは笑みをたたえ 秘かにナイフを握りしめた 人々はもう振り返ろう..
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少年詩篇 10最期の季節に 4 最期の朝 木々の葉がふるえていた 牛乳屋の自転車が音をたててとおりすぎていった となりの軒で鳩がひなをかえした まぶたに陽が痛い ..
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少年詩篇 9最期の季節に 3 四月 森の中でおまえが死んだ日 街は花ざかりで 川向こうをひとびとが ゆっくりと歩いていった 全てのものの陰惨(いんざん)さがそのとき 私の心を なごませて..
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少年詩篇 8最期の季節に 2 街角 街の中 あちこちの角には、黒い服を着た男たちが立っていて 時々時計に眼を遣っては、まるでだれかを待ち伏せてでもいるかのように 鋭い眼をとおくへ投げかける..
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少年詩篇 7最期の季節に 1 五月 森の中で私は鮒を殺した 森の外は真昼で 子どもたちがキャッチボールをしていた 木々が風に揺れ それが 私を脅かしたのだ ..
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少年詩篇 6天狗 7 子どもたちは絵本 緑の眼をした沼々の 原始林で泣いてた子どもらの 笑いながらお空 みあげてた 掘りおこされた昔の かんなの 赤い花びら は 私 振りむくことはあ..
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少年詩篇 5天狗 3 お池の鯉 きのう 死んだ あめんぼたちは 笑ったろうか お池の 空 深い おにいちゃん おにいちゃん えーと、お寺の 空では とんぼはし かめつらするって? ..
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少年詩篇 4天狗 1 お寺の空で笑ってた お前は 天狗 裏の墓地には木洩れ日 小鬼たちにこんにちはをしよう きのうもおとといも そのまたきのう くつおとひびかせ 通りすぎる兵隊 はとよ 地上..
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少年詩篇 3殺戮 あなたは笑って 引き金をひいた その顔は美しかった ぼくたちはもう 昔を思いだしたりはしなかった 雪は降ったがそれとても もう子どもの夢ではなかった ああ 僕たちの..
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少年詩篇 2朝の太陽 子どもたちは絵本を描いて それで朝がきました そして私は かき氷をつくって彼らを労ってやりました なぜって それはもうわからない それはもうわからない 子どもたちはこ..
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少年詩篇 1童話 1. ぽぷらの木の下でかえるが鳴いておりました 弔いのうたをうたっておりました とおくとおくきこえてゆきました しずかなしずかな晩でありました 2. おてんとうさま..
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もくれんの花 または 父の庭父は30代の半ばに手に入れた小さな家の庭にもくれんの木を植えた。 父の生家は農家だったから、いくつもの離れの部屋や、農作物を乾燥させるための庭、牛小屋、ぶた小屋、鶏小屋などのあるそこそこ広い家だ..