記事「講談社文庫」 の 検索結果 134 件
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「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」本谷有希子著どや、このインパクトあるタイトル、と全身で主張する感の本作、そう見えて、じつは、 ・・・ほんとにインパクトで一発勝負みたいな作品でした。 舞台はなんの名所も変哲もない日本の田舎。 登場人..
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「逃亡くそたわけ」絲山秋子著関西弁だと「逃亡あほんだら」かな。 軽く気の触れた若い男女によるさわやかな流離譚。 著者が日経新聞に書いていたエッセイが父親の新たな面の発見とか印象的に描出して面白かったので、ふと目につ..
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「ツチヤ学部長の弁明」土屋賢二著めっさ簡単にまとめると、哲学専攻の大学教授による面白エッセイである。 主な芸風としては、まず著者自身や世間一般のことについて一見立派で皮相な識見を述べ、そののちにその識見をひっくり返すような..
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「ホテルアジアの眠れない夜」蔵前仁一著何ヶ月、さらには何年も旅行をすると、それは旅行というより滞在というべきもので、へたに日本で日常を送るよりメンタルな負担はむしろ軽いものらしい。 そんな、テンションの低い滞在旅行にまつわる、イラス..
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「風の歌を聴け」村上春樹著村上春樹さんのデビュー長編である。 ある程度は著者自身を反映したと思われる大学生の主人公の、あまり盛り上がってないひと夏を、軽いテイストで描いた小説である。 分類としては青春小説にカテゴラ..
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「ぼくの砂時計」眉村卓著昭和30年代頃から登場した日本のSF作家は、その頃の時代の要請に応じて、資質にかかわらず皆さん若い頃にショートショートをある程度の数、書いている。 ちなみに"SF"とはサイエンス・フィクション、..
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「社長室直属遊撃課」かんべむさし著すごいタイトルとカバーイラストである。ヘッドラインだけ読まれる方のためにあわてて補足しておくと、ビジネス小説ではなくてSF短編集なので誤解なきよう。そんなん間違えへんってか。 表題作は会社の運動..
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「一葉の写真」先崎学著一葉の写真と云えば、五千円札の肖像画はのっぺりしてて気持ち悪い。手元にあったら先に使ってしまう。 一葉だけに枝葉から入ってしまって、テーマ「本」のヘッドラインを読まれる方に不審な印象を与えてしま..
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「モッキンポット師ふたたび」井上ひさし著以前に取り上げたユーモア短編集「モッキンポット師の後始末」の続編である。 ひともうけをたくらんだり女のケツを追っかけたりで毎度騒動を起こす3人組と、その度に振り回される指導教授の神父の行状を、..
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「モッキンポット師の後始末」井上ひさし著時代は終戦後のまだ日本が貧しかった頃、舞台はその中でも貧しい大学生の集まるカトリック寮、語り手の主人公たちが食うためにやらかす悪行の数々と、その尻拭いに奔走する指導神父の姿を描いたユーモア小説である..
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「もう頬づえはつかない」見延典子著若い女性が書いた文芸作品は周期的に話題作が世に出るよーな気がする。 本書は作者が大学の卒業制作として書いた小説で、当時ベストセラーになって映画化もされた。女性の自立が語られるようになってきた時..
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「春の画の館」金井美恵子著--- 心中事件というのはこうだ。毎月一回、遠くの街から館へやって来る客たちの一人と、その日、客を取ることに決められていた少女の一人が、売春行為のおこなわれる小屋を脱け出して森を通って湖へ、闇にまぎ..