記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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二 逃走と追跡(11)「パスポートのことだけじゃないのよ、富樫先生。先生はそうやって直接関係していないって言うつもりでしょうけれど、そうは行かないかもしれなくってよ」 言いたいことは全て言ったというように、それまでずっ..
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二 逃走と追跡(10)少しばかり疎遠になっていたとは言え、君子とホアホアは切れた訳ではなかった。君子を取り巻く状況が微妙に変化したことと、ホアホアの君子への接し方がどこかおざなりになっていると君子は感じ始めており、それが..
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二 逃走と追跡(9)沈黙が君子の覚悟を物語っていた。 富樫の事務所は一頃の勢いもなく閑散として、人の出入りも疎らだった。ひっそりとした事務所の応接セットに、主である富樫と山田君子は対面していた。 富樫はホアホア..
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二 逃走と追跡(8)日本旅券の不正取得事案であることは、手配する時に通知してあった筈なのだが、文書鑑識センターでの旅券鑑定を依頼したところを見ると、日本旅券の偽変造事案と錯覚していたと思われた。 「そうか、俺の言い方..
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二 逃走と追跡(7)「いないって、どういうことですか」 普段から柔和な笑顔で大人しい丸山にしては、似つかわしくない大声だった。それでも丁寧な口調なのは、相手が上司であるからだろう。 電話口で遣り合いながら丸山は、九..
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二 逃走と追跡(6)大林は九鬼の班に入る前に、空港や海港から強制送還される外国人を、航空機や船舶まで護送する執行係に配属されていた。 頻繁に出張し、色々な空港を見てきている大林は、成田空港や羽田空港、更には関西国際..
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二 逃走と追跡(5)空港検問所のトランクルームチェックなどで時間を食った九鬼と大林は、タイヤを鳴らしながら空港第二ビル地下駐車場に車を停めた。 「班長の人相が悪いから、厳重なチェックになるんですよ」 「俺が理由か?..
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二 逃走と追跡(4)事務手続きについては、それぞれ自分たちでやって貰うようにしなければ、これから増えるだろう仕事の処理も滞ることになるなとホアホアは考えていた。 それとも面倒な手続きが要らない闇銀だけを取り扱う..
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二 逃走と追跡(3)それを聞いたホアホアは、機嫌の良さがすっかり陰を潜めて考え込み始めるのだった。 日本旅券で出入国はできるので、今すぐに何か不都合がある訳ではないが、これからやろうとすることの障害にも成りかねない..
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二 逃走と追跡(2)「そちらはすべて上手く処理したのか」 「はい、あのままだとデブが捕まるのも時間の問題でしたからね。一対一ならあんな奴はどうってことはないんですよ」 「そうですか、イナガワさん、ご苦労様でした」 ..
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二 逃走と追跡(1)銀色に輝くパネルバンが東関東自動車道を東京方面に向かって、追い越し車線を猛スピードで走っていた。 走り慣れていない道路であるのは、右に左にと車線を次々に変更して、先行車を追い越している様子で明ら..
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一 信頼の絆(12)九鬼が成田空港に到着したら、きっとあの人懐っこい笑顔で「お手柄だったな、丸山」と言って労ってくれるだろうと思うと、自然に丸山の顔も綻ぶのだった。 だが、そうしている丸山自身は自分がやっていること..