記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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一 信頼の絆(11)幸いなことに十数年経ったにもかかわらず、モニターに映し出された十指指紋は鮮明で、引き渡される男の指紋をきちんと採取さえすれば、機械は正確に判断してくれるだろう。 自分が最終的に合致するかしないか..
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一 信頼の絆(10)コンピューターのモニターに映し出されている指紋を、丸山はじっと見つめていた。 入国警備官となって最初に受けた初任科研修で、指紋の形状から番号を附って識別することを教わったが、あの時もっと真剣に勉..
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一 信頼の絆(9)突然の詰問であるのと、珍しく名前で呼ばれたことで大林は動揺していた。確実に掴み操作していたハンドルは、大きく振られ車は左右に蛇行していた。 「疑うも、信じるも、何も、班長を信頼しているからこそ、言..
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一 信頼の絆(8)流石に九鬼が摘発情報を漏らしていると言う者こそいなかったが、事実関係は究明されないまま、部門内にうっすらとした不信感が燻ぶり続けながら、それでも変わらず摘発は続けられてきた。 大林はそんな九鬼を..
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一 信頼の絆(7)あのとき、あいつの話を信じて、許したのは間違いだったのだろうか。 もちろん九鬼の独断で違反事件を立件しなかったのではない。資格外活動という名の不法就労を客観的に立証するものが無かったし、何より当..
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一 信頼の絆(6)かつて摘発後の呼び出しに応じて、雇用主等に付き添われ出頭して来た陳華平を九鬼は取り調べた。 あのとき九鬼の前に座っていた陳華平は、生真面目と言って良い礼儀正しさと大人しい表情を見せながらも、言う..
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一 信頼の絆(5)「班長!」 大林の声に九鬼は現実に引き戻された。 思いの他に空いていた高速道路は、庁舎を出発してから一時間ほどで東関東自動車道の宮野木ジャンクションを抜けていた。 「寝ていたんですか?うなさ..
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一 信頼の絆(4)「いつもすまないな、でも、追い続けていたガラ(身柄)をやっと捕まえられたようなんだ。是非、俺に来てくれって九鬼ちゃんが言うもんだからさ」 そう言う海老川の顔は済まなそうにしていながら、それでいて得..
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一 信頼の絆(3)そんな穏やかな昼下がりに、海老川の私物携帯は振動した。音の出ないようにマナーモードにして、気付かれないようにしていたのに、海老川のポケットに納められた携帯が振動しているのを教えたのは海老川の妻だった..
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一 信頼の絆(2)思えば結婚してから全てにおいて仕事を優先させてきている海老川は、家庭内のことは全て妻に任せっぱなしにしてきていた。 夫婦の信頼の関係はそれぞれ違っているだろうが、山田の姿に自分を重ね合わさるよう..
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不法就労者(仮題) 第三部 崩壊の季節 一 信頼の絆(1)九鬼からの通報を受けて、埼玉県警本部の海老川警部補は京成スカイライナーの乗客となっていた。 当日、海老川は久しぶりの休みを取って、御徒町のアメ横で妻と買い物に出ていたのだった。 刑事ドラマを..
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十五 正義も公正も(13)それでも人望のある先輩や上司には人は集まり、割り勘であろうと会費制であろうと、共に飲食し語り合い親交を深めることができる。 ただ、柴崎の場合、集い誘って来る者たちの目的は、柴崎の懐具合であったと..