記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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十五 正義も公正も(12)そんな柴崎が二年目の月日を入国警備官として過ごす頃に、後輩として採用されてきた者たちが仕事帰りに柴崎を誘うようになっていた。 気前の良い先輩である柴崎は、後輩たちからすれば良いスポンサーであった..
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十五 正義も公正も(11)孤独だった。 柴崎は誰からも期待されていなくて、そんな状況から抜け出させてくれることを期待できる先輩も上司もいなかった。頼りにする者もいなかったし、頼りにされることもなかった。 一緒に研修を..
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十五 正義も公正も(10)自分が感じている違和感や嫌悪する気持ちを、誰に訴えれば良いのかも分からなかった。 目にしたものが一瞬を切り取ったものであり、それらの状態が現出するまでの全てを見ていた訳でもなく、ただ目の前の異常..
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十五 正義も公正も(9)そして収容手続きを行おうと収容場で待機している処遇管理係にも、正義について考えている者がいた。 入国警備官に採用されて一ヶ月が経ったときのことだ。他の収容者とは隔離された外国人を見たのだった。 ..
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十五 正義も公正も(8)二人の男もホアホアも、それぞれ単独では何も成し得なかったに違いない。 出自も経歴も全く触れ合うことのないこれらの男が、期せずして出会ったのは奇跡のような確率であり、ホアホアに言わせれば運が良かっ..
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十五 正義も公正も(7)安い賃金で扱き使った挙句に、都合が悪くなれば知らぬ顔を決め込む雇用主、金で戸籍を売る日本人男女の存在、それに群がるように縋り付く外国人の不法就労者、金になることなら何でもしようとする違反者たち、無我..
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十五 正義も公正も(6)「そうか、いま解放されたか。なんとも時間ばかりを掛けてくれるよな。それで例の結果はどうだったんだ。そうか、じゃあこれは使えるな」 満足そうな笑みを浮かべてホアホアは電話を切った。 やってはいけ..
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十五 正義も公正も(5)散々に罵倒し、恥を知れと吐き捨てるように言い置いてから、再び静かに「今日のところはこのまま帰すが、再び俺の前に座るようなことになったら、その時は容赦しないからな。覚悟しておけ」と諭すように言っては、..
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十五 正義も公正も(4)「学校はちゃんと行っているのか?お前もホステスは学生がするアルバイトに適していると思っているのか?」 静かに語りかけてくる九鬼の前で、陳美蘭は俯いたまま何も答えることができずにいた。 九鬼は努..
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十五 正義も公正も(3)九鬼がいちばん頭を悩ませるのもそこだった。何しろ資格外活動許可は包括許可といって、稼動場所等を指定しないで一律に許可書が出されていた。 もちろんそこには風俗関係の就労場所は禁じてあるのだが、摘発..
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十五 正義も公正も(2)机の上のデジタル時計が規則正しいリズムを刻んでいる。躓いたような秒針の動きを目で追いながら、ホアホアは電話を待っていた。 もうそろそろ釈放されても良い頃だった。 資格外活動の容疑者の中でも、..
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十五 正義も公正も(1)ホアホアは事務所に殴り込んで来た日本人の男をロンとともに制圧すると、臓器を傷つけないように千枚通しを何本も男の身体に貫き通した。 凡そ暴力に訴える男ほど、自分自身に向けられた暴力には弱いものだ。..