記事「外国人」 の 検索結果 4962 件
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十四 朝を迎えない夜(12)取調室の中を微妙な緊張感が包み始める。 深夜も二時を回ると一通りの事情聴取は済んでしまっていた。 容疑者と調査官として対峙している間は、そこに良い意味での緊張感が存在し、取調室は秩序を保って..
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十四 朝を迎えない夜(11)九鬼の選択肢は二つある。筋肉脳をどやしつけて収容令書を分捕ってくるか、取調べを終えた身柄を看視しながらこのまま明日の朝を待つというものだ。 残っている身柄の中には、収容令書が出ればそのまま収容で..
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十四 朝を迎えない夜(10)とにかく泊り込めば超過勤務手当てが付くから、深夜の摘発には自ら手を上げて積極的に対応していた。 それもその筈だ。家に帰っても一人暮らしで、待っている者とていないのだから、庁舎に泊まろうと家に帰っ..
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十四 朝を迎えない夜(9)九鬼の脳裏にあの気の弱そうな入国審査官の顔が浮かんだ。その男は審査官にしておくには惜しいくらいの筋肉質の良い身体を持っていた。 本来なら入国警備官にしたいくらいの体躯なのだが、性格にひとつ難点が..
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十四 朝を迎えない夜(8)「あれ程まで絞り込んだのに出せないと言うのか。理由を示せと言って来い」 収令請求を受けた入国審査官が収令を発付できないとした場合、発付できない理由を付箋に書き記して差し戻すことになっていた。 ..
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十四 朝を迎えない夜(7)収容令書を請求に行っていた大林警守長が、憤懣やる方ないといった表情で戻ってきた。 「班長、筋肉頭が収令は首席が出てくるまで待ってくれって言っています。どうしますか」 違反審査部門の審査官が深夜..
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十四 朝を迎えない夜(6)入管の摘発を逃れることができた店や根こそぎ女を持って行かれた店などからの抗議や感謝の電話が、ホアホアたちの元に次々に掛かっていた。 こうなることを予測して雇った中国人留学生たちが、習い覚えた日本..
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十四 朝を迎えない夜(5)携帯電話が点滅を繰り返している。どの携帯が何処からの連絡なのか、次第に訳が分からないようになっていた。 林忠とロンが机にばら撒かれている携帯電話を次々に手に取り、同じような応答を繰り返している。..
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十四 朝を迎えない夜(4)「もっぱら」を立証するには、人が一日を過ごす中で、食事をする、排泄行為や睡眠といった誰もが共通して行う本能的な行為の他に、その者に許された本来しなければならない活動をどの程度行っているか、その時間と..
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十四 朝を迎えない夜(3)ところが摘発した女たちの在留資格が「留学」や「就学」、「人文知識・国際業務」といった、ある程度の資格外活動が認められる在留資格であった場合でも、また報酬を得る活動が許されていない、観光のための在留資..
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十四 朝を迎えない夜(2)資格外活動と呼ばれる入管法違反は、もともとは与えられた在留資格に許されている活動以外の他の在留資格に許されている活動をしたときに問われるものとされていた。 そこにはホステスとしての活動はどの在留..
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十四 朝を迎えない夜(1)地下の取調べ室に居並ぶ警備官たちの顔には、うっすらと油が浮かび上がり、眼の下に黒い隈を作っている者も多い。それは摘発されて連れて来られた女たちも一緒だった。 クラブやスナックと名称こそ違えども、..