記事「日経新聞」 の 検索結果 2562 件
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『登山大名』(223~228)にわかにあわただしくなった。わたしは長崎奉行の黒川に嘆願書を認め、急使を送った。事が起こった場合にそなえて五人組を招集する。 「返事を待っていては手遅れになるでしょう」 「いかにも。公儀..
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『登山大名』(217~222)わたしの考えはこうだ。 大船山で軍事訓練を実施するには、陣屋や武器庫を建てる必要がある。武器庫の番人も常駐させなければならない。中川の家臣では公儀の関心をひいてしまうが、ひそかに切支丹を..
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『登山大名』(211~216)第七章 踏み絵 御座船の屋形にたたずんで、わたしは歯ぎしりをしていた。 家督を継ぐ前の短い回数を除けば、藩主となってこれが四度目の就封となる。だが一度として心安まる旅はなかった。 最初..
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『登山大名』(204~210)「ややこを産んだら岡へ帰りとうございます。岡で育てることは叶いませんか」 「当分はむりじゃ」 「皆が飢えているのに、気が退けます」 ならば全員が棄教すればよいのだといいあけしたい衝動を..
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『登山大名』(198~203)「さすれば、これにて」 忠清は「待て」と扇をかかげて上下させた。 「おぬしを呼んだのは、なにも堅苦しい礼を聞くためではないぞ。ご嫡子に縁談をとりもってやろうとおもうたのだ」 「久恒の、..
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『登山大名』(192~197)「母上が前田をたよったわけがわかりました」 「長房どのとご家族がいずこなら安心して暮らせるか、考えぬいた末に、加賀の前田さまにお願いするしかないと……」 「母上。長房どのの御事、お話しくだ..
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『登山大名』(186~191)ただちに岡へ知らせをやり、長崎へ送る人数をかきあつめると共に、五人組の一人、大筒内蔵助に大筒――石火矢とも呼ばれる大砲――を持参するように命じた。どうあっても長崎奉行を敵にまわしたくない。背..
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『登山大名』(180~185)「余も妙におもうた。父上が江戸へ参勤でもどる直前、母上は小石川の上屋敷から芝口の下屋敷へ移られた。父上は驚き、上屋敷へ帰るよう命じたが母は帰らず……下屋敷へ迎えにきた父上と母上が長いこと話しこ..
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『登山大名』(174~179)数日後、らんはわたしに耳打ちをした。 「乳香が失せました」 「部屋子にはたしかめたのか」 「むろん。箱にはふれておらぬ、と」 乳香をもっていたからといって切支丹だと断定はできない。..
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『登山大名』(168~173)明暦の大火は、これまで経験したことのない大災害をもたらした。大半が焼け野原と化した江戸は、焼けだされた避難民であふれ、おびただしい骸が埋葬もできぬままに放置されているという。幕府はお救い小屋..
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『登山大名』(162~167)第六章 女傑 明暦三年、一月も残すところあと二日、わたしは岡城本丸の御寝間で、らんと、水入らずのときをすごしていた。 国主が、突然、素性もわからぬ娘を拾ってきて寵愛するのである。いくらなん..