記事「ジョン・ニコル」 の 検索結果 56 件
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『バイロン伝』第六章 4/5さて、バイロン夫妻の間には、とやかくしてゐる内に女の子が生れた(ロンドン、一八一五年十二月十日)。その名をオーガスタ・アダと言ふ。ところがバイロンの財政状態は益々惡化して來た。債鬼等はびし/\と彼を..
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『バイロン伝』第六章 5/5彼の結婚生活はこの通りにして、悲劇に終つた。彼の氣持は面白くなかつた。その上に、道徳好きの英國人は、例に依つて例の通りに、おせつかいを始めた。しかも、事件の性質上、非難される方はバイロンだつた。妻の..
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『バイロン伝』第七章 01/13第七章 スヰス──ヴェニス 一八一六年四月二十五日、バイロンは、オステンドに向つて英國を船出した。譯も解らずに自分を非難してやまないロンドンの群衆からのがれて、再び自由な海上に乘り出した彼の喜..
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『バイロン伝』第七章 02/13バイロンの今囘の大陸旅行の道順は、あまり詳細にわたつては知れてゐない。ベルギーのオステンド港に上陸し、進んでブラッセルに到着した時には、今迄乘つて來たナポレオン型の馬車は不便だと言ふので、幌附馬車に..
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『バイロン伝』第七章 03/13さてその間に、七月にバイロンはコッペ(Coppet)にゐる、閨秀作家スタエル夫人を訪問した。そして其處でフレデリック・シュレーゲルに逢つた。かくして、このジェネヴァでの生活は割合に順調に運んで行つた..
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『バイロン伝』第七章 04/13彼が何故英國に歸らうとしなかつたか? 英國を愛してゐなかつたためか? それとも他に理由があつたのであらうか? 友人のムーアその他は「バイロンの身體は外國にゐても魂は故國にゐる。そして、如何に英國..
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『バイロン伝』第七章 05/13『マンフレッド』は三幕十場よりなる。第一幕が二場、第二幕が四場、第三幕が四場である。この劇詩の主人公はマンフレッドと言ふ中世時代に住んでゐる貴族である。劇の場面はアルプス山中である。 その前に言つ..
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『バイロン伝』第七章 06/13彼はこれまでに習ひ研めた魔法を使つて、宇宙の精靈達を呼び出す。彼の咒文によつて現はれ出て來るものは、自然界を支配してゐる七人の精靈である。 七人の精靈達は、マンフレッドに向つて、 「何が望みで..
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『バイロン伝』第七章 07/13第二場になる。 アルプスの高峰ユングフラウ山の朝である。斷崖の上にマンフレッドが一人で立つてゐる。マンフレッドは矢張り憂鬱である。彼の前には朝日に輝いた新鮮な風景がある。しかしそれは彼の心を寸毫..
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『バイロン伝』第七章 08/13第三幕第一場はマンフレッドの城内の廣間。マンフレッドには、最後の靜けさが感じられる。 マンフレッド 私の上には靜けさがある── 言ふに言へない靜けさ! これは今迄、私の人生に對する知..
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『バイロン伝』第七章 09/13そこへ僧院長が入つて來る。僧院長は、再びマンフレッドを諫める。 僧院長 …………………… 私が、言葉や祈祷に依つて、 あなたの心に觸れる事が出來れば、 これまで、さ迷うてゐたあなた..
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『バイロン伝』第七章 10/13一八一七年の九月にバイロンは、かねてから自分に對して種々の厚意を示してくれた英國ヴェニス領事なるホップナーに交渉して、エステに近いエウガニアの丘にある田舍家を借りる事にした。しかし、その年の冬を過す..