記事「守護神」 の 検索結果 469 件
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自作小説「守護神」89 第24章(その2) ※注 小説の時代設定は1970年代「悪いことはできないもんだな。昨夜笹原と銭湯で会って聞いたんだ」 「あいつもおしゃべりだな。だが、おまえの元気な姿を見て安心したよ。遠くからおまえの姿を見た時、亡霊かと思ったもんな」 「それ..
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自作小説「守護神」88 第24章(その1) ※注 小説の時代設定は1970年代『確かこの辺りだったな』 木村は辺りに人影のないのを見届けて、道端に黒い財布を落とした。彼は急いでその場を離れ、道を引き返した。角を曲がると、今度はゆっくりと歩き出した。重荷を一つ下ろした安堵感..
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自作小説「守護神」87 第23章(その2) ※注 小説の時代設定は1970年代木村は大きな伸びをすると、布団をはねのけた。彼は勢いよくカーテンを引くと、腕時計をのぞいた。八時十分前だった。例の若い女性が窓の下を通る時刻はとうに過ぎてしまっていた。彼は自分がさまざまな思いに身を..
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自作小説「守護神」86 第23章(その1) ※注 小説の時代設定は1970年代アラームの音に木村は目覚めた。彼は手探りで腕時計を取りその音を止めたが、身を起こそうとはしなかった。体中じっとりと汗をかいていた。 『幸先の悪い夢を見てしまったな。警察に捕まるなんて。そうなってし..
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自作小説「守護神」85 第22章(その5) ※注 小説の時代設定は1970年代「怜子はここがどこか分かるかい」 彼女は首を横に振った。 「まあいいさ。逃げるのはどっちでも同じなんだから。さあ、行くか」 歩き出そうとした木村の右手首がぎゅっと掴まれた。興奮した様子で修..
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自作小説「守護神」84 第22章(その4) ※注 小説の時代設定は1970年代「よう、ご両人」 木村も怜子も突然のその声に驚いたが、見ると二人の眼前に宮下の姿があった。異次元の世界から降って湧いたような感じで、二人ともあっけに取られた。 「驚くことはないぜ。俺は神出鬼..
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自作小説「守護神」83 第22章(その3) ※注 小説の時代設定は1970年代「僕がやったんですよ。島津じゃなくてね」 「えっ、あなたが。私、何がなんやら、訳が分からんようになってきたわ」 茫然としている下宿のおばさんを残して、二人は外へ出た。 「どこへ行くつもり..
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自作小説「守護神」82 第22章(その2) ※注 小説の時代設定は1970年代「すまない。こいつが来なかったら、これからその話をするところだったんだ」 木村の言い方は弱々しかった。 「うまく言うなあ。おい、早くしろ」 島津は乱暴な口調に戻って、木村を急かせた。木村は金..
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自作小説「守護神」81 第22章(その1) ※注 小説の時代設定は1970年代木村は怜子の体を抱きながら、その温かい、柔らかい感触をむさぼるように味わっていた。彼女は目を閉じたまま、顔に恍惚とした表情を浮かべていた。彼女にそういう至福感を与えているのが自分だと思うと、彼はます..
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自作小説「守護神」80 第21章(その4) ※注 小説の時代設定は1970年代「寝ようか」と谷口が言った。 二人は布団をかぶった。目をつむった島津に、谷口が話しかけた。 「あのなあ」 「うん」島津は目をつむったまま、返事した。 「さっきユキに未練があるって言ったけ..
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自作小説「守護神」79 第21章(その3) ※注 小説の時代設定は1970年代「快く受けて立つさ」 「俺には勝てないぜ」 「そんなことはない」 「ようし、それなら腕相撲をしようじゃないか」 「やるか」 二人は掛け布団を取り除けると、布団の上に向き合って腕を出した。お..
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自作小説「守護神」78 第21章(その2) ※注 小説の時代設定は1970年代「あいつは俺とおまえを両天秤にかけているようだが、それだけあいつは俺に惹きつけられるものがなくなってきたと思っているんだろう。俺も見くびられたもんだな。だが正直言って、俺も最近あいつを持て余しているん..